
本作1話は予備知識有りの人と無しの人でかなり印象(衝撃?)が異なると思います。
私は“ちょい有り”だったのですが、それでも最後の場面転換にはぞわっと来るものがありました。
以下、ネタバレあります。未見の方はご注意を。
「がっこうぐらし!/♯1 はじまり」(2015年7月9日深夜BS11放送/安藤正臣演出)
巡ヶ丘学院高等学校“学園生活部”。それは生徒会室を根城に寝泊りし、学校全体をフィールドとする部活動(毎日学校でキャンプって感じです)。

部員は、丈槍 由紀(たけや ゆき)、恵飛須沢 胡桃(えびすざわ くるみ)、若狭悠里(わかさ ゆうり)、直樹 美紀(なおきみき)の4人。

4人で朝食を済ませると日直のゆきは一足先に教室へ。
以後、姿をくらました学園生活部のペット(犬)・太郎丸を探す様子を追いながら、学内各所をご紹介、という流れになります。

実にのほほんとした日常風景。
で、この日常描写が面白いかと言うと全く面白くありません。「ゆゆ式」「きんモザ」「ごちうさ」あたりと比べたら余裕で1話切りしちゃうレベル。
ただ、所々挿入される不穏な絵柄や描写がちりちりと神経をざわつかせます。
廊下の奥に組まれた不自然なバリケード、屋上の園芸部菜園にあるお墓のようなもの、ゆきとしか会話をしない顧問の教師、一瞬映る割られた窓ガラスなどなど。

最後になって、この学校自体が冗談じゃない状況下(ほとんど「漂流教室」)にあることが分かるのですが、大事なのはシチュエーションではありません。
主人公・ゆきが完全に狂っている(部活メンバー以外の人間とのやりとりは全部ゆきの妄想。部活メンバーはゆきを傷つけないように合わせていただけ)という事実がぞろりと毛穴を広げていきます。

1話単体で観れば完全に出オチ。短編としてなら十分に完結しちゃっています。
おそらく2話以降は時間を巻き戻して、ここに至る経緯を語る「喰霊-零-」のパターンになるのではないかと思いますが、初回で切り札を使ってしまったので、辻褄合わせの感は否めません。
状況を踏まえたサバイバルの方に力点を置いてくれれば、そこそこ楽しめるとは思いますが(あ、でもそれじゃ「HOTD」と変わらないか…)。