ブラック・サバスで1枚と言われて本作を推す人は稀だと思います。
大抵はオジー在籍時の1st~4thのいずれか、ロニーなら「Heaven And Hell」、後期のファンならトニー・マーティン、コージー・パウエル在籍時の「Headless Cross」か「TYR」辺りではないでしょうか。
私も完成度という意味なら迷わず2ndの「パラノイド」を推します。
が、しかし、衝撃度という意味合いにおいて、本作を越えるものはありません。
「悪魔の落とし子 BORN AGAIN/ブラック・サバス」
(1983年発表。通産11枚目のスタジオアルバム)
全世界が耳を疑ったイアン・ギランのサバス加入。
どう考えてもパープル再結成に行き詰った挙句の小遣い稼ぎ。しかし、出来たアルバムを聴いて更に耳を疑う。「いいじゃん、これ」
景気良くシャウトしまくるオープニング・ナンバー「Trashed」、情感たっぷりに暗黒世界を謳い上げる「Born Again」、重さと疾走感が一体となった「Hot Line」。
後にギラン本人は「どれもいい曲だったが、サバスのカラーには合わなかった」と発言していますが、何をらしくもないご謙遜を。
そして、ライブで三度目の衝撃。サバスが「Smoke On The Water」。ありえねー!
ギランは今でこそ“ハワイに社員旅行に来た中小企業の経営者”のような佇まいになってしまいましたが、この頃は悪魔的オーラを身に纏った邪神の風格がありました。
未聴の方は騙されたと思って、是非。