『だから、俺はあの子を家に連れて帰るんだ! そうすれば元に戻るんだ! 逃げた女房も取られた家も全部元に!』
死んだ娘を見たというバス運転手、トンネルの中で巨大な光宗を見たマイマイ、同じ獣と思しき声を複数が同時に聞いたにもかかわらず、その印象は全員バラバラ。
地図にも載っていない都市伝説の村・納鳴村(ななきむら)に辿りついた“人生やり直しツアー”参加者32名(主催者、バス運転手含む)。
しかし、生活の痕跡はあるものの、住民がひとりとして見当たらない。人々はどこへ? ここは本当に納鳴村なのか?
疑心暗鬼に陥るツアー参加者。残留か、下山か。
強く下山に反対する真咲。下山中に消えた氷結のジャッジネス。地下牢から脱獄したジャック。死んだ人間が見えるというリオン。
『本当に見えるのは、これから死ぬ人…』
各人のトラウマ(未練、恐怖)に起因する幻視。死んだ娘、別れた男、そして…。
山よりデカいペンギンのぬいぐるみとその頭部から覗く人間の顔。
『時宗!』
何か最後にすげー爆弾投下されちゃいました。純粋オカルト路線なのか、何らかの仕掛けがあるのか。景気良く広げられ続ける大風呂敷。
岡田麿里のことですから、初めにオチありきで逆算執筆していると思うので広げた風呂敷が畳めなくなる事はないでしょうが、どう落とすつもりなのかは気になります。