北村龍平原案脚本、坂口拓監督でゾンビというだけで期待度は低く地を這っているわけですが、本作はキャストがやたら魅力的。
まずはカメラ目線で運命について語るのは「大阪最強伝説 喧嘩の花道」やべきょうすけ。彼が何者かに首をもがれてどぼどぼと鮮血滴ったところでタイトル。
「鎧 サムライゾンビ」(2008年/坂口拓監督)
どこぞの山道を走る家族旅行らしい1台の車。ハンドルを握っているのはお父さん、「冷たい熱帯魚」吹越満。母さんとの運命的な出会いを熱く語って後部座席の娘と息子にからかわれております。
助手席で照れているお母さんは…荻野目「いつかギラギラする日」慶子じゃないですか。お元気そうで何より。
で、お父さん、今でもゾッコンなお母さんに見とれて前方不注意。道に立っていた兄ちゃんを景気良く跳ね飛ばしてしまいます(このシーンのスタントさん滅茶苦茶良い仕事しています)。
内臓のひとつやふたつ破裂していても(もしくは骨の1本や2本折れていても)おかしくない所ですが、「…死んじゃうじゃん」と普通に立ち上がった白づくめの男は…いしだ壱成。
何だ、こいつがゾンビなのか? と思った瞬間、石田の背中に銃弾3発。
着弾が背中のみで胸部無傷(貫通ゼロ)ってどうよ?とも思いましたが、この脚本・監督コンビにそんなこと言っても聞く耳持っちゃいないでしょうからスルー。
撃ったのは全身黒で決めた桜塚やっくん(合掌!)。
どうもいしだとやっくんと連れの女は銀行強盗で逃走途中に仲間割れを起こした模様。
吹越の車を乗っ取ったやっくんは、大昔に廃村になった納鳴村、じゃなくて八つ墓村、でもなくて八槍塚村へ。
勿論そこは呪われた地で、サムライゾンビがこんにちは。
いしだが轢かれても撃たれても(タマ噛み千切られても)『死んじゃうじゃん』の一言で立ち上がってくる不死身キャラで実いい感じなのですが全くお話に活かされず勿体無い限り。
坂口監督だからアクション重視かと思いきや、そこもあっさり。サムライゾンビの後ろ回し蹴りといしだ役のスタントさんの“落下芸”くらい。
要所要所に寒いギャグが挿入されますが、あまり真面目に作られてもしんどいので、適度な悪ふざけはアリ(真面目に作ったら印象薄くなる)。
サムライゾンビの造型と子役の演技は○。期待値ゼロで臨めばそこそこ楽しめる出来だと思います。