『言っただろ。テクノーラは会社であって社会じゃない。
そして、たとえデブリ課が解散するとしても、
私たちはまだデブリ屋なんだ!』
『デブリ課なんてゴミは私の事業部には必要ないんだ!』
『あんたの事業部に必要なくても、人類には必要なんだあぁ!』
『お父さんは…お父さんは宇宙を守るデブリ屋なんだあぁ!』
宇宙空間に浮かぶ廃棄衛星やロケットの残骸。たとえ微細なネジ1本でも大惨事の引き金になる危険な宇宙ゴミ、スペース・デブリ。
その回収を生業とするのがデブリ屋。その多くは企業の人道的配慮(ポーズとも言う)で運営されている非生産部門。
宇宙開発の尻拭いをしている現場が舞台。しかし、所詮は宇宙も地上の拡大投影。
持つ国と持たざる国、その格差を押し広げる宇宙開発。持たざる国が生き残るためにテロリストの道を歩む者。月で生まれ月で育ったために国の概念を持たない少女。宇宙放射線に冒されて尚、宇宙で死にたいと願う男。ただひたすら速く遠くに行きたいと渇望する男。
己の信じる道を信じきれない漂泊者、それが、
「プラネテス[仏版DVD-BOX]」
(2003年10月4日-2004年4月17日NHK-BS2放送/谷口悟朗監督)
2070年代。月面でのヘリウム3採掘など、資源開発が商業規模で行われている時代。
宇宙開発大手テクノーラ社第2事業部デブリ課。宇宙ステーション最下層にある掃き溜めに元気な新入女子社員・田名部愛が配属。
これって、「警視庁のハイテク前衛部隊だの未来警察の先駆者だのと言われながら、その実、予算がどうの計画がこうので、こーんな地の果ての埋立地に押し込められ、与えられた装備と言えば土木用を白黒に塗り替えただけのセコハン・レイバーがそれもたったの3台!部隊創設以来3ヶ月、警視庁のゴミ!おまけ!盲腸!などと呼ばれ蔑まれ」てきた警備部特車二課に泉野明がやってきたのと同じ設定ですね。
この田名部愛とデブリ課の先輩・星野八郎太(ハチマキ)の関係が物語の主軸。
細かいエピソードを丁寧に積み重ね、ようやく互いの心が重なった時、運命の歯車は予想もしない方向に。
貴族になるために努力したが、それはただ搾取する側に回るだけだと気づいて宇宙防衛戦線のテロリストとなったハチマキの元カノ・クレア。
クレアと共に死線を彷徨い、命の選択を迫られる愛。
紆余曲折を経て、地球を見下ろす宇宙空間で行われた“しりとりプロポーズ”は、私の知る中で最もロマンチックなプロポーズです。
「プラネテス[仏版DVD-BOX]」は全26話をDVD6枚に収納して2,200円前後。