デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

仁義前深作。 博徒解散式

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『俺は堅気だぞ。とっくに足を洗ったんだ』

『何で洗った?』

『…何?』

『言ってやろう…お前は仲間ので洗ったんだ。さぞ綺麗になったこったろうな!』

まだ「仁義なき戦い」まで5年の月日を要しますが、それでも映像の端々に深作らしさが。

博徒解散式」1968年/深作欣二監督)


国会議事堂バックに【昭和3910暴力団絶滅方針、確認さる】、県警バックに【昭和413月】【新県警本部長 前田利一郎】【岩崎組との対決を表明】。


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港バックに【昭和417月 港湾労働法施行】、同法の適用で次々逮捕される岩崎組企業幹部、手配師。【岩崎組、最高幹部会を招集】【岩崎組企業幹部、岩崎組との絶縁を宣言】


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テロップ乱れ撃ちで時代と背景を一気に説明。タイトルに雪崩込んでいざ本編。

8年の刑期を終えて娑婆に戻ってきた岩崎組若衆頭・黒木徹(鶴田浩二)。

冒頭の畳み込むテンポが鶴田の顔ひとつで急ブレーキ(笑)。


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このファッションとこの表情ひとつで現代劇の建てつけが水の泡。

流石の深作も鶴田浩二が放つ“昔気質の不器用な任侠やくざ”というオーラを拭うことはできなかったようです。

港湾利権と生き残りを掛けた岩崎組、袂を別った企業幹部・唐沢(渡辺文雄)の争い。組長に代わって岩崎海運を仕切ることになった黒木。

黒木が組長と話す時、それまで低く寄りで構えていたカメラがすっと俯瞰の引きになる視点の切り替えに軽く息を呑んでしまいました。

任侠の美化も、やくざ映画の疾走感もなく、およそカタルシスとは無縁な展開の挙句、索漠としたラストを迎える、東映ヌーベルバーグとでも言うべき珍品です。


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ヤクの金欲しさに唐沢の犬になる元組員・河西役の丹波哲郎がいい感じでした。

作監督、同じ年に「ガンマー3号/宇宙大作戦撮っていますね。触れ幅が広いのか迷走しているのか器用貧乏なのか。


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