デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

正しいチェンソーの使い道。 WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

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『農業やったら手間隙かけて作った野菜がどんだけ美味いか、食べたもんが喜んだか分かるけど、林業はそうはいかん。ええ仕事をしたかどうか、結果が出るのは俺らが死んだ後なんや

日頃、“ホラーテラーで皆殺し”な生活を送っていると、チェンソー=人体解体道具と疑問無く認識してしまいますが、勿論それは間違い。

チェンソーは正しく森林伐採のツールであります。

WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」2014年/矢口史靖監督)

平野勇気(染谷将太)は大学受験に失敗、返す刀で彼女から「距離を置こう」宣告。

ヤケっぱちになった勇気は、カタログに載っていた女の子(長澤まさみ)が可愛いというそれだけの理由で林業の道へ。

『(受験とか)もういいや。一浪するのも疲れるし。(林業は)男らしいって言うか、エコって言うか、地球に優しくありたいわけよ』

讃えたい程あっぱれな駄目っぷり。向かうは三重県。「緑の研修生」企画。

 

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1ヶ月の研修の後は1年間の実技訓練。預けられたのは山奥のそのまた奥、神去(かむさり)村の中村林業

お目付け役は飯田ヨキ(伊藤英明)。ヨキは斧の意。「犬神家の一族」の“ヨキ・コト・キク”のヨキですね。

 

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貴重な伊藤英明の手鼻シーン。村の婆さんはひがな一日路傍で麻雀。

親方(光石研)が運転席からヨキに声をかけ、ヨキが自宅前からダッシュで親方の車に追いついて荷台に飛び乗るまでを、助手席(勇気が乗っている)視点からのワンカットで捉えたシーンが素晴らしい。

林業の技術以前に“ヨキすげー!”ってなります。

山の男として「山」に迎えられ、村の一員として「村」に迎えられ、ひとりの男として「女」(カタログの女性、石井直紀)に迎えられる。

 

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未熟な異邦人の成長の物語。分かっている展開なのについ乗せられてしまうのは語り口が巧妙だから。

山の神に導かれるシーンも本来なら有り得ないはずなのに違和感無く受け止められるのは周到な日常と非日常をバランス良く張り巡らせているからだと思います。

 

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48年に一度開催される神事オオヤマヅミ。最後に待っていたとんでもない大スペクタクル。

 

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1年の実技訓練を終えた勇気の選択は…。

原作は三浦しをん(「舟を編む」を書いた人ですね)。

これからはチェンソー見たら「悪魔のいけにえ」と共に思い出すようにします。

 
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