
『死体、死体、また死体。来る日も来る日も。絶える間もなく』
金内吉男(マグマ大使の声)の名調子。日本公開版を同時収録した豪儀な仕様。アメリカン・ドリームの裏面を覗くドキュメンタリー。
「アメリカン・バイオレンス/THE KILLING OF AMERICA(北米版BD)」(1981年/シェルドン・レナン監督)
制作は山本又一朗&レナード・シュレイダー。公開当時は見慣れたニュース映像の羅列だったかも知れませんが、36年経った今となっては貴重な映像記録です。
特に「ガイアナ人民寺院」「テキサスタワー乱射事件」「マンソンファミリー」といった“フィクションの方を先に見てしまった”エピソードは元ネタを知る良い機会。

前半は「ケネディ大統領暗殺」「ベトナム戦争」といった歴史ネタですが、徐々に個人にフォーカス。
シリアルキラーのスターたちが大挙登場する終盤は本作の白眉。
ジム・ジョーンズ、チャールズ・ホイットマン、チャールズ・マンソン、テッド・バンディといったスーパースターから、ジョン・ウェイン・ゲイシー、エド・ケンパーといったややマイナーなスター(やっている事の陰惨さはトップクラスですが…)まで充実のラインナップ。
特に33人もの少年を犯し拷問し惨殺して自宅の床下に埋めた(正確には29体目からは埋める場所がなくなって川に捨てた)ジョン・ウェイン・ゲイシーの荒業には驚嘆します。
この他にも名も無き犯罪者が多数登場して、アメリカという国の裾野の広さ(人材の豊富さ)を再確認。
個人的にはエド・ゲイン先生が登場しないのが少々不満ではありますが、見応えのある映像ライブラリだと思います(エド・ケンパーのインタビューとか結構貴重)。
あれから大分ネタも溜まっていると思うので、是非“その後のアメリカン・バイオレンス”を企画してください、山本さん。
★ご参考