『要は観測という行為は何か特別な意味がありそうだ、と言いたかった。
先ほどの現象の話で言えば人間が観測することで現象の結果は変わるという事だ!
この宇宙に人間がいる必然性を感じないだろうか!』
ちょっとした知的興奮を味あわせてもらいました。
亜人に対する高橋先生の拠り所は生物学的常識。では違う常識の中に住んでいる人の意見は?
という訳で町と高橋先生は高橋の母校、武蔵野理科大学へ。
待っていたのは物理学に身を置く学友、相馬。
『ははは 相変わらず表情一種類しかないなお前は』
相馬曰く『デュラハンという存在はロマンそのもの』
そのおまんじゅうは町くんが口に入れそして飲み込むその刹那、瞬間的に分離した身体の方に移動するわけだ! つまりこれは時空を超えた物質の移動が可能であることの証明に他ならない!』
なるほど。かねがね疑問に思っていたことですが、町の飲食に物理学的なアプローチを試みるとそういう説明になるのか。
町の頭と体はワームホール(亜空間)で繋がっている!
首の部分は可視できないが、喋れる=声帯がある、という生物学的アプローチで“首があるはず”と推論する高橋先生。
波の性質を持った量子が観測されることで粒になるという例えで、観測が現象に影響を与えることを示唆する相馬。
不可視な首。観測という行為を阻害する何か。それは意思。
「観測とは何か?行為だ!行為の裏には人間の意思がある!つまり、人間の意思は現象に影響を及ぼす!」
生物学vs物理学。理系の異種格闘技戦。
このやりとりに町が興奮しないわけがありません。
『私にとって勉強はクイズのようなもの。問題があって答える、それで満足していた。でも違うんだ、その先があるんだ、世の中を変えるような何かが。
その一つがデュラハンの秘密で、私はそれを知りたい。
他の人がデュラハンを研究するのは倫理的に難しいのだとすれば…』
『未来を見据える学生の姿はかくも美しい』
同感です。