アクション映画においてお目に掛からないのが稀なくらい、スクリーンを飾ったハンドガン“ベレッタ92”(米軍正式採用名:M9)。
中には「96時間/リベンジ」のようにベレッタの見本市のような作品も。
1985年以来、30年以上に渡って米軍標準仕様の正式拳銃として採用され続けてきた名銃ですが、遂にその栄光の歴史にピリオドが。
現場におけるM9に対する要望(文句とも言う)は大きくみっつ。
①グリップがぶっと過ぎる(手に余る)。
②片手でグリップした時にサムセーフティが滅っ茶扱い難い。
③威力がイマイチ(プロテクター装着の相手に対するストッピングパワーが弱い)。
ひとつ目は近年、飛躍的に増大しつつある女性軍人に対応するためにも必須の課題。とは言え細い(薄い)だけではいかつい男の手に馴染まない。
そこで、軍が提唱したのがモジュラー・ハンドガン・システム。モジュラー化されたパーツの組み合わせによって様々なサイズのハンドガンの組み上げを可能にするシステムです。
バレルが変わる=口径が変わる=威力が変わる=装弾数が変わる=サイズが変わる。
後継として指名されたのはシグ・ザウエル社(サウアーが正しい発音のようですが、ザウエルの方がかっちょいいのでこちらに統一します)のP320。
前出の応用性+最低でも2,000発は動作不良を起こさない、という安定性の条件を満たし、S&W、GLOCKを向こうに回して競り勝ちました。
デコッキングレバーのない“完全ダブルアクション仕様”のシルエットがスマートです。
今回の正式採用を受けて、アクション映画の景色が変わることでしょう。
例えば、味方(敵でもいい)の死体から拳銃を集めてバラして自分用にカスタマイズするなんてシーンが出てくるんじゃないでしょうか。
色々と楽しみではあります(ベレッタ好きだったんだけどなぁ…)。