
《盛岡森子30歳。脱サラしてニートになった。そのへんの無職とは格が違う。自らニートの道を選んだエリートニートだ》
ニートになって何をする? 決まっている。ネトゲだ。イケメンキャラとなって充実のネトゲ・ライフを送るのだ。
「ネト充のススメ」(2017年10-12月/柳沼和良監督)
選んだゲームは王道ファンタジーRPGフリドメール。ここでの森子はイケメン初心者「林」。レベルがあがらずドン詰まっているところを助けてくれたのが美少女リリイ。

『大丈夫ですか?』『か…かわいい!』
やがて二人は“相方”に。そして偶然にも現実世界で二人は…。
んな偶然あるわきゃないだろう、と言うなかれ。ラブコメとは奇跡の物語なのだ。ファンタジーなのだ。ネトゲで知り合ったネカマとネナベが曲がり角でごっつんこなどもはや宇宙の法則と言っていい神の筋書き。

その神の配材を以て尚もどかしいまでに進まない大人の恋。
不器用なのは徒然チルドレンだけではありません。大人だって不器用です。
色々噛んで含んでしまった分、大人の方が引っ込み思案かもしれません。
仕事で追い詰められて、恐らくは誰にも支えて貰えない疎外感に悩み(だからこそ電話でやさしい声をかけてもらっただけで号泣し)、辞めることで自由とニートの後ろめたさを手に入れた盛岡森子。

自虐的なまでに低い自己評価と戸惑い、それでも一歩踏み出す勇気。能登さん(森子の中の人)はやっぱり凄いです。

本作スタッフで驚いたのは“音響監督:郷田ほづみ”のクレジット。こんな所にいたのかキリコ。お笑い→声優→音響。芸達者な人だったんですね。