映画小僧が大金預けられて商業大作初監督。しかもジャンル映画。まず初めに何をする?
そりゃもう、リスペクト、引用、パロディ、オマージュ etc。好きな作品のあの設定、この台詞、あのアングル、この音楽。
好きの全てをぶち込んだ無垢なる魂。商業なのにプライベート。
一種の履歴書ですね、これは。
今回のコングはこれまでのような“人間のエゴに振り回される可哀想な猿”ではありません。人間などいう矮小な生き物なぞ歯牙にもかけない文字通りの巨神です。
ベトナム戦争終結直後という時代設定がいい感じ。
帰国命令に沸き立つ米軍の中で、戦場以外に居場所を見つけられない男がひとり。彼に下った最後の司令。
静止衛星が発見した前人未到の孤島に調査団を輸送せよ。
常に嵐(龍の巣?)の中にある未知なる島・髑髏島(この日本語の響きが冒険譚的。スカルアイランドじゃピンとません)。
ヘリ発進の誘導係。動きがちょっとダサい。トップガンの洗練さを見習おう。
久しぶりにヘリの編隊に心ときめきました。ヘリと言えば「自分で流すぜBGM」。魂の1曲はBlack Sabbath「PARANOID」。合格!100点。
待っていたのは巨大な島の守り神。コング。
問答無用で蠅・蚊のように捻り潰される軍用ヘリ。全編を通して米軍の犬死にっぷりは素晴らしいの一語。
部下の大半をすり潰されてエイハブ船長と化したパッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)。
島の案内役で主人公的ポジションの英国陸軍特殊空挺部隊の元兵士コンラッド(トム・ヒドルストン)が全く活躍しないとか、反戦カメラマン、メイソン(ブリー・ラーゾン)のキャラ設定がまるで活かされていないとか、存在の意味がビタ一文ない中国女とかいらん登場人物が多々おりますが、人間同士の対立やら恋愛やらをまるっとスルーして怪獣映画に特化した姿勢には喝采を送りたいと思います。
そしてまさかのエピローグ。おお、そこに繋げちゃうんですか。ご丁寧に咆哮音まで。何と言う商売上手、あいやファン・サービス。
ハリウッド版「地球最大の決戦」&「キンゴジ」。期待して待たせて頂きます。