
『あとさ、アレなんて言うんだっけ?
カップルが愛情表現の為に唇と唇をくっつけるやつ。
それとさ、カップルが自分の気持ちを伝える言葉、あるじゃない?
ほら、“好き”のもっと凄いやつだよ。 最初の文字が“あ”でさ』
からかいの次元を超えた言葉責め。羞恥プレイの域に達したミストレス・ワールド。
「からかい上手の高木さん/第3話」
(2018年1月23日深夜BS11放送/パク・キョンスン演出)
6つのエピを詰め込んでいますが「筋トレ」の一部を除いて全て下校時のやりとりのみ。何気に凝った構成です。
今回は高木さんの揺さぶりが半端ありません。
空き缶のゴミ箱シュート勝負で『もし高木さんが勝ったら何でも言うこと聞いてあげるよ』という西片がシュートの体勢に入った瞬間、

『あ、そうだ。もし西片が勝ったら――私のファーストキスあげるよ』
使途の精神攻撃もここまで激しくありません。
そして雨の放課後。傘を忘れた(と言っていますが、絶対、鞄の中に折り畳みが入っていたと思います)高木さんと相合傘の帰り道。
まずは西片の右肩が濡れないようにと密着して近接格闘モード。

(し…心臓の音が…凄い!)
「傘を忘れるなんて高木さんって案外ドジなのかい?」という西片の煽りに「確かにちょっと忘れっぽいかも」と合わせるふりして
『今こうして二人で一つの傘を使ってるこの状況って…なんて言うんだっけ? ちょっと…ド忘れしちゃってさ』
ここから畳み掛けるように冒頭の会話へ。役者が違うにも程があります。
トドメは雨が上がった後の別れ際。
『帰り道…ド忘れしちゃったなー』
翻訳すると『もうちょっと一緒にいたい』。もうお前ら爆発しろ。
本作の層を厚くしているのが、同級生ミナ・ユカリ・サナエの3人組。原作者・山本崇一郎の別作品「あしたは土曜日」の主人公がコメディ・リリーフとして脇を固めているので構成にメリハリがついています。

コーヒー飲めない、炭酸苦手なミナ(眉毛の子)がムードメーカー。
西片-高木のストーリーに直接は絡まないものの、前振りや韻といった捌きや回収の役割をしっかり担っているので、添え物感がありません。
一種のスターシステムなのかも。

