
理想で煮〆た大学院生が、理想に反する考えの人間を殺して埋めてトマトの糧に。
「最後の晩餐/平和主義者の連続殺人」
(1995年/ステイシー・タイトル監督)
共同生活をする5人の院生。今日も酒と料理と理想論。
もし、過去に戻って暴虐を行う前の貧しい画学生アドルフに出会ったらどうする?
平和主義者の答えはひとつ。『勿論、殺す』
同じ仮説が「デッドゾーン」でも引用されていましたが、将来核戦争のボタンを押してしまう大統領候補の姿を透視してしまった男と生活の苦労もなしに酒呑んでいるだけの学生とでは言葉の重みが違います。
ある日、晩餐に招待した男(愛国主義満開の極右)を殺してしまった事をきっかけに偏った思想の人間を招いては毒殺する「正義と平和のための密室裁判」を開催。

『乾杯しましょうか?』が判決(死刑執行)のサイン。
死体は庭に埋めてトマトの肥料に(大きく真っ赤なトマトが大量に…)。
日本で言えば(年齢構成が滅茶苦茶ですが)、室井佑月、香山リカ、鳥越俊太郎、関口宏、ウーマンラッシュアワー村上あたりが、安倍晋三寄りの人間を片っ端から殺していく感じでしょうか。
最初のうちは改心の機会を与えたり、殺すかどうか吟味する過程がありましたが、そのうちテキトーになり、最後はなんか気に入らないというだけで殺すように。

ロン・パールマンやチャールズ・ダーニングまで。
人種差別に敏感な黒人が男女差別には無頓着だったり「ま、リベラル(笑)なんてこんなもんよ」という作り手の悪意(ブラックユーモア←便利な言葉だ)が微笑ましい。
気になったのは死体の処理。こんもりとした古墳状。おいおい、それただ土を被せただけだろ。ちゃんと穴掘って埋めろよ。臭うし犬とかが掘りかえしちゃうぞ。
絵的に判りやすくしたかったのでしょうが、犯罪の後始末にしては杜撰すぎ。
サントラにはKC&ザ・サンシャインバンド、テン・イヤーズ・アフター、ロス・ロボス、少年ナイフ(カーペンターズのトップ・オブ・ザ・ワールドをカバー)などが参加して結構豪華。

問題発言を繰り返す有名コメンテーターを招くことに成功した5人でしたが。
見方によって評価の変わる作品ですが、風刺の効いた(その割に笑えない)コメディと割り切ればそこそこ楽しめると思います。