羽毛の舞うステージに死体を並べて悦に入るフクロウマスクの殺人鬼。
気の触れた肉体コラージュ、美しき死体の立体曼荼羅。
この絵柄だけでお釣りが来ます。
「アクエリアス」
(1986年/ミケーレ・ソアビ監督)
嵐の夜、ホラー・ミュージカルのリハーサル中の劇場に精神病院を脱走した元役者の殺人鬼が・・という設定自体は実にオーソドックス。
殺されるのはフリーランスの役者、演出家、プロデューサー。
ソアビ監督は、各人の関係性のみを丁寧に描写し、キャラクターには深入りせず。殺人鬼も“殺す役割の人”どまりで、何故彼が狂ったのか、何故16人もの人を殺したのか、については言及なし。
密室という器にハンターと獲物という記号的役割で話が進んでいくのですが、フクロウマスクという斬新なビジュアルと流麗なテンポ(前半ちとモタつきますが、後半はイケイケ)、そして冒頭紹介の狂った舞台のため、心に残る1本となっています。
恐怖シーンや雰囲気作りは師匠アルジェント譲りですが、意味不明なカット挿入や投げっぱなし伏線とかは真似せず、理を通す賢い弟子です。
※参考:「デモンズ95」→2008年5月27日
「デモンズ3」→2010年9月19日
「デモンズ4」→2010年9月21日