デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

社会正義か損得勘定か。 一応の推定

イメージ 1
 
『竹内さん…何で怒んないの? 怒んなきゃ駄目だよ!
 
2週間後に定年退職を控えたベテランと青二才の若者。
 
刑事ドラマではよくある設定ですが、今回は保険調査員。しかも若者がベテランの雇い主という軽い捻りが加わっています。
 
「一応の推定」2009年/堀川とんこう監督)
 
ひとりの老人が山形県長井駅のホームから転落、列車に轢かれて死亡。
 
老人は3ヶ月前、3,000万円の死亡保険に入っていました。


イメージ 2
 
遺書はなし。明らかな自殺でなくとも、ある一定の条件を満たせば自殺であると“一応の推定”をする事が可能。


自殺と推定されれば保険会社は“無責”となって保険金は支払われません。
 
保険会社はベテランの調査員・村越(柄本明)に判定調査を依頼。依頼側窓口は経験の浅い若者・竹内(平岡祐太)。

イメージ 3
 
死んだ老人は商売で不渡りを掴まされ、銀行には多額の借財が。更に孫娘は国内治療不可能な心臓の病。海外で移植手術を受けるには最低でも7千万の金が必要。
 
どこからどう見ても保険金目当ての自殺。しかし、村越の直感は事故。
 
真実はどっちだ?
 
松本清張を彷彿とさせる人間ドラマ。柄本明で持っている感無きにしも非ずですが、保険調査の内幕は見応えがあります。
 
調査員が無責に持ち込んだ場合、保険金の5%3,000万なら150万)が報奨金として支払われるとか初めて知りました。
 
調査中に定年(60歳)を迎えた村越。えー柄本明ってもっと上でね?と思いましたが、柄本さん1948年生まれなので撮影当時推定61歳でほぼリアル。
 
保険調査を社会正義と信じて疑わない村越を見ていたら、保険というものが初めて世に出た時のキャッチコピーを思い出しました。
 
『ひとりはみんなのために。みんなはひとりのために』


この精神が今も保険業界に生きていることを望みます。



イメージ 4イメージ 5←ランキング投票です。よろしければワンポチを