厄介者を成敗したら更に難儀な存在になって帰って来た、という特殊ジャンル。
代表格は「エルム街」のフレディ・クルーガー、「ショッカー」のピンカー…ってどっちもウェス・クレイヴンか。
共通点は死後に得た特殊能力。
フレディは夢の中ならどこでも、ピンカーは電波があればどこでも物理法則を無視して移動することが可能になりました。
一種の“どこでもドア”ですが、本作の場合は“水”。
「溺殺魔 セバスチャン・ドナー」
(2014年/チャド・アーチボルド監督)
DEKISATSUMAという音がちょっと新鮮(原題はTHE DROWNSMAN)。
女性を拉致ってきては溺死させるサイコくん、セバスチャン・ドナー。しかし、ある女性の反撃にあって自らが溺死…したと思ったら水の妖精(?)となって華麗に復活。
水のあるところならどこでも参上。空間的な広さも水の量もお構いなし。
バスタブは言うに及ばず、洗濯機、洗面所、果てはキッチン脇にこぼれた水からも現れて相手を水の中に引きずりこむ招待上手。
発想は面白いのですが、とにかく溺殺一辺倒なので殺しにバリエーションというものがありません。水で押し通すならもちっと水芸を磨いてほしいものです(水恐怖症とか閉所恐怖症の人はガクブルだと思いますが)。
加えてセバスチャンのキャラ立ちが悪く、ホラーアイコンとしては完全に予選落ち。
更に犠牲者となる5人の女性に儚さ脆さがない(ぶっちゃけ好みじゃない)ものだから、なかなか緊迫感が醸成されず…。
色々残念な作品でした(これならまだ「ゴースト・シャーク」の方が笑えるだけマシってもんです)。
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