『飲み込んだ言葉は育ち続けていつか胸を破るかもしれない。
でも十分だ。今はこれで。今はまだ…このままで』
これまで侑オンリーだったモノローグが、燈子、沙弥香まで広がって胸の内を吐露しはじめました。
七海燈子の側近にして正妻を自認する生徒会副会長・佐伯沙弥香。ともすれば悪役ポジになりがちな立ち位置ですが、そんな軽い役割を担わせたりはいたしません。
掘って広げて育てて溜めて。
生徒会劇の脚本担当となったこよみが生徒会と顔合わせ。場所は生徒会選挙の時に応援演説原稿の読み合わせに使った喫茶店。
クールビューティな店員さん(実は店長さん)も二人(燈子&侑)の事を覚えていて。
そこに生徒会副顧問にして侑のクラスの現代文を担当している箱崎理子先生が。
『おかえり。今日はお仕事早かったんだね』
『うん。たまには』
店長と客とは思えない挨拶。かつてその道に踏み込みかけ、現在も尚驀進中の沙弥香アンテナがビビッドに反応。
ラジオライフの通販で売っていそう。感度抜群百合レーダー。
予感通り、店長と理子先生は同棲しておりました。
翌日、燈子が侑を名前呼び(公の場では初めて)。固まる沙弥香、全身を眼と耳にして観測体勢に入る槙くん。
(燈子があんなに人と距離を詰めるの見たことない…)
意を決した沙弥香は件の喫茶店にひとりで。駆け引きをしている余裕はない。
『すごく不躾だと思いますし勘違いだったらすみません。店長さんは箱崎先生とお付き合いされてるんですか?』
『うん、そうだよ。彼女』
呆気ないにも程がある情報公開。
『まぁ私もあなたくらいの頃は絶対秘密にしなきゃって思ってたよね』
頬赤らめて燈子への想いを語る沙弥香。単なる親友ではなく、完全な恋愛対象だったんですねえ。
『サービス。あなたいい子だから』
『いい子…?』
『友達のままでいることがその子の願いで、あなたは自分の気持ちよりも
それを叶えるって決めたんでしょ。だからいい子』
『私がただ傍にいられなくなるのが怖いだけでも…?』
『だとしても本当の気持ちを飲み込むのは大変なことだよ』
恋愛マスター誕生です。
おまけ
侑も私を名前で呼んで、と無茶振りしておきながら、ジト目で睨まれた後に『燈子先輩。燈子…先輩』と呼ばれて恥ずかしさのあまり悶絶する燈子。
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