『さくら…あんた自分だけ運がないと思っているみたいだけど、大事なことを忘れている。私たちはみんなゾンビなの。全員死んでるのよ。ここには誰1人持っている人間なんていない』
『もう腐れ縁なんです。ゾンビなだけに』
誰が上手い事言ってまとめろと…。
「ゾンビランドサガ/第12話・グッドモーニングアゲインSAGA」(2018年12月20日/境宗久、清水久敏演出)
500人規模の箱を誇る会場「唐津市ふるさと会館アルピノ」での単独ライブを前に、再び軽トラに撥ね飛ばされ、ショックで生前の記憶を取り戻したかわりにゾンビになってからの記憶を全て失ってしまったさくら。
頑張っても後悔するだけ。スーパーポジティブな元気娘がウルトラ“持っていない”ネガティブ娘に。
何とかさくらにフランシュシュを(そして自分を)思い出してもらおうとする山田たえが健気。
たえがライブでちゃんと踊っているのを見て、潜在的にそういう才のある子なのかと思っておりましたが違いました。ひとつひとつ懇切丁寧にさくらが教えていたんですね。
今度は自分の番と振り付けを教えようとしますが(健気すぎて泣ける)、さくらには通じず。
心を開こうとしないさくらにゆうぎり姐さんの理不尽ビンタ(いや今回ばかりは理不尽ではなく正当ビンタ)が炸裂。
記憶があろうとなかろうと、勝手もわがままも承知の上で一緒に踊ってもらう。
『たえはんを見て思いんした。さくらはんがいないステージを成功させるくらいなら、さくらはんと一緒のステージで失敗したいと』
記憶はなくしても身体が覚えていた振り付け。どうせ無駄だよという悪魔の宣告のようにひび割れる鏡をサキが拳で黙らせる。
ひびが入ったのが不吉ならいっそこの手で割ってしまえ、というサキの肉体言語に痺れます。
アルピノライブ二日前にして再び全メンバーが揃ったフランシュシュ。しかし、佐賀上空には不穏な影が。
突如、東シナ海で発生した爆弾低気圧が佐賀史上最大の積雪をもたらし、バスも運休。それでも集まる観客。
これまで各話ゲストとしてフランシュシュと関わってきた(そしてファンとなった)人たちが集う様は、「あしたのジョー」最終話(ホセ・メンドーサ戦)を前にかつての対戦者や少年院仲間、ドヤ街の連中が会場に集まるあの景色を彷彿とさせていい感じ。
ライブ開始後も豪雪と強風は止まず、やがてステージ後方のガラス窓を突き崩し、ついにはステージ崩落。
ライツアウト。スピーカー緘黙。やはり持っていない者が何人集まっても駄目なのか。
静寂を破ったのはサキ。
『♪何度でも 何度でも 立ち上がれ』
『♪諦めなければ 終わりは 始まりへ変わる』
純子が続く。愛が、リリィが、ゆうぎりが続く。1コーラス終わったところで静止。
待つ。ただじっと待つ。センターがマイクを握って立ち上がるのを。
『…よ~み~がえれ~!』
お約束でも燃える。いや燃える故のお約束か。名シーンフラッシュバックで記憶回復。
楽屋で喜びのあまり、さくらの頭に噛り付いて離れないたえが可愛すぎ。
今回、謎のひとつであった巽幸太郎とさくらの関係が明かされました。巽の本名は乾くん。ああ、乾(戌亥)→巽(辰巳)なのか。
まだ、ゆうぎり姐さんや姐さんと関係のあったBAR New Jofukuのマスター、そして何より伝説の山田たえの謎が残っています。
早く、二期を…。