デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【銃火器&近接格闘見本市】バーニング・ブラッド【だが低予算だ】

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趣味も特技も「格闘技」な俳優兼スタントマンのイギリス人、スコット・アドキンスによる銃火器&近接格闘見本市。

「バーニング・ブラッド」

(2015年/アイザック・フロレンティーン監督)

 

舞台はメキシコ。まずはソノラ州の州都エルモシージョ(字幕はエルモシヨになっていましたが、こっちの表記が正しいっぽい)から。

麻薬の親分さん(の甥っ子その1)のアジト(連邦裁判所とも言う。軍人さんが入口の警護をしている武器持ち込み御法度の豪奢なビル)に単身乗り込んできた男、コルトン・マクレディ(スコット・アドキンス)。

目的は組織に拉致られた姪ヘイリー(マディソン・ローラー☜美人)の奪還。

得物はベルトのバックルに仕込んだナイフ1本。

エレベーター、廊下、室内とかまいたちのように駆け抜けてあっという間に皆殺し。

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おお、これがイスラエルで考案されたという近接格闘術クラヴ・マガって奴ですか。

因みに原題はCLOSE RANGE(近距離)。

ヘイリーが拉致られた理由は麻薬の仲介人をやっている義父(クズ野郎です)が受け渡しの荷をちょろまかした為。

コルトンは色々あって軍から追われている身ですが、ヘイリーの母親(コルトンの姉)の依頼で助っ人として参上しました(ここいら辺の建てつけは「ストリート・オブ・ファイヤー」ですね)。

で、身内に手を出す奴は問答無用で皆殺し(この辺は「コマンドー」風味)。

面子潰され甥っ子殺され、ついでに顧客情報の入ったUSBを奪われた麻薬の親分さんは激怒り。

甥っ子その2と部下引き連れてお礼参り。

あとはひたすら銃撃戦。軽いカーチェイス➡ハンドガン➡ショットガン➡ライフル➡格闘技。

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逃避行も糞もなくてヘイリーの実家で籠城戦。金も時間も大事に使うエコ仕様。

ハンドガンはベレッタ92FSメインでSIG(SIG-Sauer P226 X-Five Tactical)やらデザート・イーグルやら。

ショットガンはDouble Eagle M56A、Ithaca 37、Mossberg 500、Remington 870などなど。

 

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左上から時計周りにDouble Eagle M56A、Ithaca 37、Mossberg 500、Remington 870。


で、終盤、景気よく銃弾の雨を降らせてくれるのがライフル類。

色々ありますが、お姉ちゃんが使っているのが、スプリングフィールドM14。

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「裏世界ピクニック/ミート・トレイン」で鳥子が使っていた奴のオリジナル形態ですね。7.62×51mmのNATO弾を使用するバトルライフルです。

そしてコルトンが乱れ撃っていたのが、56式自動歩槍(56しきじどうほそう)。

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中国北方工業公司(ノリンコ社)が製造しているAK47のデッドコピー。要するにカラシニコフのバッタモンです。

が、しかぁし、56式は現在までに1,000万~1,500万挺が製造されたと言われており、世界中に出回っているAKの大半は56式。なので、もはやAKと言えば56式(悪貨が良貨を駆逐した!)。

とまあ、そんな所に着目するくらいしか見どころがない…のですが、その手のものがお好きな方には飽きる事の無い85分であろうかと思います。

 

★似たような手触りの作品、前にも観たなぁと思ったらこれだ。 

 

★どこにいたのか全く以て覚えていませんが、スコット・アドキンスも出演していたのが、 

 

 

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★本日4月27日はテオ・アンゲロプロス監督(1935~2012)の誕生日。

さあ、あなたも3時間52分の鉄人レースに挑みましょう。

★そしてもうひとり、本日はオリジナルKISSのリード・ギタリスト、エース・フレーリー(1951~)の誕生日(おめでとうございます!)

KISS時代のアルバムも最強無比ですが、今回は2016年発表のカバー集を。

 

「結」だと!? やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 第14.5巻

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完結編となった14巻あとがきで「短編集の刊行」は予告されていましたが、いずれ読む機会があるんだろうな、程度の期待でした。

なんせ渡航さん、今期は「聖女の魔力は万能です」のシリーズ構成とかも手掛けてますし。

が、思いの外早く、その機会は巡って参りました。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 第14.5巻」(2021年4月発売/渡航著)

Blu-ray BOXの特典とか既存再録もありますが、分量にして半分は書き下ろしの新作。

最初の短編が初詣の後日談(正確には当日の夜談)だったり、雪乃の誕生日プレゼントを結衣と買いに行った日の後日談(正確には当日の夜談)だったりしたので、おっと今回はミッシング・リンク繋げ編か?と思ったら、しっかり14巻のその後も描かれておりました。

真面目なテーマとしては、奉仕部の今後の在り方(比企谷が守ろうとして間違えた奉仕部と、由比ヶ浜や一色が期待する奉仕部と、部長を引き継いだ小町が目指す奉仕部と)なんてものがありますが、読み終えてみればもはや些事。

デレのんの魅力が全てを破壊。

告白1ヶ月後記念にいそいそとクッキーを焼いておずおずと比企谷に差し出す雪ノ下とか、もうキュン死でしょう。

まさか、バカップルと化した比企谷と雪ノ下を見てニヤニヤする日が来ようとは。

★告白シーンを確認したい方はこちらを。


一色いろはにも「まだメインヒロインの座を降りたわけではない」的な見せ場があるので、いろはすファンの方も必読(再びいろはすデート回か!?という期待は寸止めでしたが)。

いろはす成分不足気味の方はサプリ代わりにこちらを。


由比ヶ浜だけがモブ街道まっしぐら(泣)。次は是非、由比ヶ浜捲土重来エピを混ぜておいてください(ママとセットがいいです)。

シリーズ通しての難をひとつ挙げれば、ドラマ内経過時間1年の尺に執筆経過時間約10年の時事ネタを遠慮なくぶち込んでくるので鮮度管理が滅茶苦茶という事でしょうか。

第1巻で比企谷が作文にリア充爆発しろ!」と書いてから1年しか経っていないはずなのに、14巻で平塚先生がこの一文を引用したら比企谷本人が『それ古いですよ。10年前のセンスじゃねぇか』と突っ込むという自虐ぶり。

14.5巻でも、桜を見る会ネタが出て来たり、八幡と父親の唯一の会話が「シン・エヴァ」の感想言い合う事だったりと、後から全巻一気読みしようものなら「おいおい、この時代設定どうなってんだよ!?」な混乱を生むこと間違いなしなカオス構成。

まあ、それも愉しみの内ではあります。

で、またしても「あとがき」に気になる情報が。

何とやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結」なるプロジェクトが進行中とか。

「完」の次に「結」。これは「ひぐらしのなく頃に」が「業」から「卒」という流れになったのに呼応しているのでしょうか(…チガウ)。

映画化かTV4期かコミックスか。媒体不明の新プロジェクト。

期待しております。

★原作完結編14巻はこちら。


★アニメ版「完」最終回はこちら。

 

 

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★本日4月26日は作曲家ジョルジオ・モロダー(1940~)の誕生日(おめでとうございます!)にして、音楽家カーマイン・コッポラ(1910~1991)の命日。

どちらもクラシック・ムービーを音楽的側面から再生させた仕掛人です。

モロダーはドイツ映画を

そしてコッポラはフランス映画を。

【じっちゃの音ばひとつひとつ】ましろのおと ♯3-4【削ぎ落す!】

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『弾ぐのか?』

『うん』

『弾げるのか?』

『弾げるわけね。じっちゃみてぇに左手さ10本も20本も指がついてるみてぇな弾き方、できるわけね』

『なして弾こうと思ったんだ?』

『じっちゃの春暁のさわりを知ってるおばあさんがいた。おばあさんが聴きたがっていることより、聴かせたがっている女の子の必死さが、願いと違う事をしてしまったら…ってキツくて』

高校でひとり津軽三味線愛好会を続けている前田朱利のおばあちゃんは幼少期の疎開先で雪の祖父・松五郎の演奏(春暁プロトタイプ)を聴いていました。今もその一節を口ずさむおばあちゃんにもう一度その曲を聴かせてあげたい。

その願いを自分は叶えることができるのか。

そんな雪の苦悩にこともなげに答える兄・若菜。

『弾げなくても怖がる事ねえ。おばあさんにお前の春暁ば聴かせればいい。おばあさんの持っているじっちゃの記憶におめえか加わればいいだけだ。春暁はこうなったって、記憶の上書きして来い』

若菜から届いたじっちゃの演奏テープ。砕ける波が、吹きすさぶ風が、降りしきる雪が、そして暁の光が見える…。

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『俺がじっちゃになれる訳ねえんだ。せば、じっちゃの音ばひとつひとつ、捨てるしかね。削ぎ落す。じっちゃの春暁を俺に…俺の音に』

遂に雪が春暁を奏でます。

ましろのおと/第3話・驟雨|第4話・春の暁」(2021年4月16日・23日深夜BS-TBS放送/赤城博昭監督)

第3話は所謂「溜め回」。

津軽三味線の全国大会でA級を二連覇している実力派奏者・緒方洸輔(おがた こうすけ。名取名・神木清流)が初登場。

東京で行われた神木清流のライブ会場を訪れた雪は控室で清流の三味線を弾く機会を得ますが実力発揮にはほど遠いがっかり演奏。

どうも雪は弾く衝動とか聴かせたい想いのようなものがないとスーパーパワーを解放できないタチのようです。

観ている側としてはストレスのたまる展開ですが、清流はしっかり雪の潜在能力を見極めておりました。

『僕の前で音を見せなかった。雪くんを引っ張り出すのは大変だよ。あれは自分の力では育たない。聴く人に育てられるタイプだ』

視聴者の溜飲を下げると同時に、清流の凄さを認識させる好演出。

ただ、雪にこの話を聞いた若菜ちゃんは激怒り。

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『奴の前で失態こいたってか!? あのキザな東京野郎の前で!? そったら半端くせえ奴、死ね!』

そして演奏当日。場所はお祖母ちゃんが入居している施設。

『ずっとじっちゃの音を覚てた人…教えてくれるか、春暁を生み出せたじっちゃの想いを。なあ、じっちゃ、じっちゃの昔の音しか知らないこの人に、託していいか? 俺のこれからの道しるべ』

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『あの時のことを、聞きたいのかい?』


じっちゃの音を削ぎ落した雪の春暁。おばあちゃんの追憶に音がつき、色がつき、過去と現在が繋がって…。

いやこりゃ泣くよ。回想と演奏のサイドイッチラリアットは「砂の器」が証明した鉄板の号泣レシピ。

これで前半の山場をひとつ超えたことになります。

さて次の展開は…と思ったら梅子だ(笑)。

物語を転がすのがトリックスター梅子の役割なんですね。

にしてもまさか「雪さん見守り部隊」などという密偵(ストーカーとも言う)まで放っていたとは。

いやはや。母子揃って逸材だ。

おまけ

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悩む雪の姿を見て『元気がないのはお腹がすいているから』と握り飯を作ってそっと差し入れる桜ちゃん。ええ子です。

 

 

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★本日4月25日はアル・パチーノ(1940~)&タリア・シャイア(1946~)の誕生日(おめでとうございます!)

この二人が揃ったら何はさておき

個々に1本ずつ挙げるなら、パチーノはこれを

そしてタリア・シャイアはこちらを。

 

その譜面は召喚の調べ。 デビルズ・ソナタ

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フランスの古城。クラシック界の救世主と言われながら、妻子を捨てて隠遁し、表舞台から姿を消した音楽家リチャード・マーロウ。

外界を拒絶して作り上げたバイオリン・ソナタ

完成の夜、マーロウは己の体に火を放ち絶命。

遺作を含む全ての財産はひとり娘・ローズの元へ。

「デビルズ・ソナタ
(2018年/アンドリュー・デズモンド監督)

 

原題は「THE SONATA」。70年代なら間違いなく「惡魔のソナタだったでしょう。

ってか現代でも「惡魔のソナタ」にすべきだったと思います。「デビルズ・ソナタ」じゃ安っぽ過ぎ。

実際お話の建て付けはB級。しかし、古城とそこに並ぶ家具・調度品、そして何よりリチャード・マーロウを演じたルトガー・ハウアーが作品のランクをひとつ半押し上げています。

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ロケ地はラトビア


ローズ(フレイヤ・ティングリー)は幼少期より天才と謳われたイギリス人バイオリニスト。

彼女の元に届けられた父マーロウ急死の知らせ。

自分と母を棄てた男に未練も興味もありませんが、晩年を過ごしたと言うフランスの古城を訪れてみることにしたローズ。

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父の書斎には遺作となったバイオリン・ソナタの譜面。その端々に書き込まれた見た事の無い記号。

音楽記号…では恐らくない。

それは楽譜を完全なものにするためのヒント。

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譜面が完全再現された時、その音楽はこの世ならざる者を召還する招きの調べに変貌する。

CGは…使わない方が良かったなあ(一気に安っぽくなる)。

もう少しマーロウがオカルト的な側面に惹かれていく過程が描かれていると彼の異常な行動(人の道を大きく踏み外した儀式を行っていた)の動機が分かって良かったと思います。

にしてもクラシック音楽とオカルトは親和性が高いですね。

 

★ご参考~クラシック+オカルトと言えば…。

 

 

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★本日4月24日は神代辰巳監督(1927~1995)の誕生日。

神代作品を単独で取り上げたことはないのですが(すみません!)、安岡力也兄ィの追悼記事の時にちょろっと触れているので、今回はこちらを。

★もうひとり、本日はギター演奏家ジョン・ウィリアムス(1941~。有名作曲家とは別人。因みに作曲家の方は最後のsが濁音でズ)の誕生日(おめでとうございます!)

ジョン・ウィリアムスと言えば「ディア・ハンター」のテーマ曲「カヴァティーナ」

この曲にまつわる与太話は…

 

★★★★★★★★★★★★ STOP PRESS ★★★★★★★★★★★★

追悼:隆大介

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

隆大介さんがお亡くなりになりました(なっていました)。

4月11日。自宅にて頭蓋内出血を発症して急逝。64歳没。

隆大介と言えば「影武者」の織田信長NHK峠の群像」の浅野内匠頭、「五条霊戦記 GOJOE」の武蔵坊弁慶、そして何と言っても「ウルトラマンダイナ」のアスカ・カズマが印象深いですが、本日は社会派なこの1本を。

ご冥福をお祈りいたします。

 

追悼:レスリー・マッコーエン@ベイ・シティ・ローラーズ

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ベイ・シティ・ローラーズ絶頂期のリード・ボーカリストレスリー・マッコーエンがお亡くなりになりました。

4月20日。自宅にて。死因不明。65歳没。

改めてWiki見たら結構大変な人生を送っておられたようで。

奥さんが日本人というのは知っていましたが、両性依存でもあったとは…。

何かの番組で現地取材を受けた時に横にいた奥さんに対して『まだチェリーだったのに~(泣)』

で奥さんがニカっと笑ってカメラ目線で『喰っちまいました~(笑)』

(奥さんと出会ったのは78年らしいのでレスリー23歳。初レイプが19歳なので)確かにその時彼はチェリーだったのかもしれませんが、バージンではなかったんですね。

75年に高齢の女性を殴り倒して死亡させた事件で有罪判決を受けて以降はアルコール依存症+薬物依存症。密かに複数の男性たちとの性的関係にも依存。

86年にコカインを絶って2000年代初頭に再起…難儀な人生です。

これでアラン・ロングミュアー(2018没)、イアン・ミッチェル(2000年没)に続いて3人目のメンバー喪失。

ご冥福をお祈りいたします。

 

 

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