『現在の時刻は…んっ…深夜3時半。皆様何を求めてこんな時間まで起きてらっしゃるのでしょうか?札幌の生体ノイズ担当、鼓田ミナレです。
と…なんの変哲もないオープニングトークから始まりましたが。ここで白状しますとね。今…私…ガン見されてるんですよ。ヒグマに。
いや動物園とかじゃなく、普通に。山で!沢で!目測15メートルくらいの沢で!
言い忘れましたが今回、札幌岳からの中継でお送りしています』
一体何が始まったんだ。深夜の沢でゲリラ中継か?にしてはインカムひとつ着けてないぞ、このお姉さん。
ヒグマの攻撃をよけながらマシンガントークでリスナーからのメール(人生相談)に答える鼓田ミナレ。
お前はウィリー・ウィリアムスかよ!と突っ込んでいたらカメラはラジオのDJブースに。
そういう設定という事か…。OKすぎる掴みです。
「波よ聞いてくれ/第1話・お前を許さない」
(2020年4月3日深夜BS-TBS放送/南川達馬演出)
鼓田ミナレ25歳。男と別れてやけ酒。飲み屋で知り合った麻藤兼嗣49歳ラジオ局勤務に絡み酒。
喋り倒して記憶喪失。気がつけば自室のベッドの上。
こんな時は悲しい映画でも観て思いっきり泣こう。
『今こそ!(泣けなきゃ人間じゃないと友人に薦められ、借りたまま別れ話に突入し、見る気の失せたデミ・ムーア主演の…)』
あ、それ、ちゃうでぇ。ゴースト違い…って泣くんかい、それ観て!
『さあ!涙も枯れたし。戦場に戻るか』
簡単リセットだな鼓田ミナレ。戦場とは“パンとカレーの夢空間”VOYAGER。
店内に流れるラジオ番組を聞いていたら聞き覚えのある声が…ってこれあたしじゃん!
しかも昨夜のクダ巻き大会実況録音。
なん…だと!?
密録しやがったな麻藤兼嗣!
貰った名刺握りしめてスタジオにカチコミ。
放送中断させるはずが、何故か自分がマイクの前に…。
恐るべし、策士・麻藤。
これアレですね。ロボットもの第1話の鉄板フォーマット。如何に自然に少年を操縦席に座らせるか。如何に「逃げちゃ駄目だ。やります…僕が乗ります!」と言わせるか。
飲み屋のクダ巻きで才能を見出されるという点では「江分利満氏の優雅な生活」とも被りますが。
あれよあれよという間にキューサインを受けたミナレは怒涛のマシンガン、いやガトリング・鬱憤晴らし・トークを炸裂。
『そして…最後にひと言言わせてください。はぁ~!光雄。お前は地の果てまでも追い詰めて殺す!』
余 談
さて、予告無しぶっつけ生放送でパーソナリティ紹介も無かったにも関わらず、ミナレの放送は大好評。身バレ・名指しで店の客から大声援。
『愛されてる通り越して怖いんですけど!“愛は凶器”ってなんのコピーだっけ?』
『楳図かずおの「イアラ」ですよ』
何と言う高度なやりとり。サラっと答えるキッチン担当・中原忠也も只者ではない。かなりツボな会話でした(第2話「奴らが憎い」より)。
余 談2
タイトルからの連想で普通なら「波の数だけ抱きしめて」あたりを思い浮かべるのかもしれませんが、私が真っ先に思い出したのはこれ↓。
★ご参考