デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

マッチポンプ電波。 アップグレード

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仕組まれた事故と襲撃で妻と全身の感覚を失ったグレイ。

生涯車椅子の定めを捻じ曲げたのは1枚のチップ。

それはAI。名はSTEM。

STEMの肉体制御によって再び動くことが可能になったグレイ。

想定外だったのはSTEMが自我を持っていた事。

「アップグレード」

(2018年/リー・ワネル監督)


家電の制御や車の運転をAIがやってくれる程度の近未来(凄く良い感じの匙加減)。

グレイの仕事は昔ながらの自動車整備。

今日も整備を終えたファイヤーバード(恐らくこの世界では超ビンテージクラシックカー)を妻と共にクライアントの元へ。

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多分1977年モデル トランザム。後ろにつけているのが帰路用の完全自動運転車。


この帰り道、自動運転車が制御不能となってクラッシュ。その場に現れた4人組に妻を殺され、自らも頸椎を傷つけられ四肢麻痺の重体に。

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失意のどん底、生きる気力Nothingなグレイの元にエロン・キーン(ファイヤーバードの納品先)がひとつの提案を。

私の開発したAIチップ、STEMで君を元の体に戻してやろう。但し、違法な施術なので他言は無用。

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STEMを埋め込まれたグレイは元通り…になったのはいいが、頭の中に妙な声が。

正体はSTEM。テレパシーではありません。グレイの発する言葉を解読し、鼓膜を振動させる事で会話を(だからSTEMの声はグレイにしか聞こえない)。何というマッチポンプ電波(笑)。

そして何と、肉体制御をSTEMに預けると反射神経がマトリックス並みに。

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首から上を無視して手足が勝手にマーシャルアーツな動きを…。


こうなったらやることは決まっている。妻を殺し、俺をこんな体にした奴らを一人残らず探し出してお礼参りだ!

と、ここまではシンプルな復讐ものの建て付けですが、伊達に近未来に軸足を置いているわけではありません。

実にSFマインド溢るる展開が待っています。

グレイを襲撃したのは全身機械化を施された“武器人間”

二の腕から装填したバレットを掌から発射。合理性よりビジュアル重視な改造が堪りません。

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これって「ハード・リベンジ、ミリー」じゃん!


エレベーターをサーモグラフ透視してドア越しに一閃。

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相手の弾丸を避けつつの近接格闘はまんまガン=カタ。事件を追いつつ、グレイに疑惑の目を向ける女刑事が自動運転車ではなく自ら運転者なアナログ派なのもいい感じ。

この「マトリックス」以上「リベリオン」未満、「未来警察」以上「攻殻機動隊」未満な雰囲気が実に身の丈にあっていて好感が持てます。

ちょっと「トータル・リコール」な(あるいは「未来世紀ブラジル」な)終わり方は「おいおい」ですがこれはこれで(笑)。

監督は「ソウ」シリーズ、「インシディアス」シリーズの脚本(一部監督/製作総指揮)手掛けた人。

手術とか解剖とか瞬殺シーンに経験値が反映されています。

★ご参考
 

 

 

 


 

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