Vシネと言うと「実録もの」「極道もの」の印象が強いですが、元々は劇場公開を前提とせず、低予算で好きな事をやる破天荒さ、ハードボイルドからエログロ、特撮、SFまで何でもアリな守備範囲が魅力のジャンル。
その意味ではこういうミステリー(?)ものはVシネの存在意義を再確認できる貴重な作品かもしれません。
「天獄の島」
(2011年/辻裕之監督)
死刑を廃止する代わりに「流刑(島流し)」を復活させた近未来の日本。
流刑は重さによって3種類。「近流(こんる)」「中流(ちゅうる)」「遠流(おんる)」。
チンピラ5人ぶち転がして遠流に処せられた御子柴鋭(小沢仁志)。
彼には遠流の流刑地・天獄島に行く目的がありました。
島流しと言うと佐渡の金山とかを想像しますが、あれと決定的に違うのは、国が監視も管理もしていないこと。
放り込んだらそれでおしまい。あとは囚人の自治。何が行われていようとも委細構わず。
「ニューヨーク1997」のマンハッタン島が近いですね。
島の中央部には「天国」と呼ばれる町が(過疎で流刑地指定されるまでは普通に人が住んでいたので、家も道も電気設備も残っている)。
御子柴は小心者の元銀行員・上妻と共に天国を目指しますが…。
原作は落合裕介の同名漫画(全3巻)。
立ち上がり部分は原作を綺麗に踏襲。
天国には第1区から第7句までの地区があり、流刑者が最初に訪れるのは第1区。南門。
ふたりを出迎えたのは南門の常駐管理人、有馬(木村圭作)。
ちょっと前なら間違いなく岸辺一徳(もしくはガダルカナル・タカ)の役回り。
当然、島には色々裏があり、秘密があり、目的があるわけですが、本編はそこまでは届かず。続編「天獄の島2」に繋げる尻切れエンド。
題材は面白いのですが、御子柴と有馬を除く各キャラの役作りが残念無念。
何と言うかもの凄く時代劇チックな大仰かつ現実離れした演技で正直かなり引きます。
誰かと一緒に観ていたら自分が悪いわけでもないのにあれこれ突っ込まれそうで居たたまれない感じ、と言えば伝わるでしょうか。
特に島の秘密の核となる改造人間「赤目」の造形。あれはもう少し何とかしてほしかった。
こういう役はボブ・サップあたりを騙して酒でも飲ませて適当に暴れさせといた方が絵になったんじゃないかと思います(このネタ絶対三池向き)。
あと天国の奴隷(使役人)である仕働夫(しどうふ)が若い奴ばかりなのもちょっと。
仮にも死刑相当の重犯罪者収容施設なのにあれでは少年院と言うか戸塚ヨットスクールです。
製作上の都合だと思いますが、終盤でかなり原作から離れた展開に。どういうオチにするのか気になるので、一応続編も観る予定。
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★本日11月12日はラダ・ミッチェル姐さんの誕生日(おめでとうございます!)。
結構こっち側の作品に顔を出しているのに、どうしてもナオミ・ワッツのバッタもんに見えてしまうラダさん。
一応、代表作はこれと…
残念無双だったこれ?
あとやっぱり残念だった比較的最近のこれ?
ケヴィン・ベーコンと共演した「ダークネス」(2017)は未見ですが評判悪いですねえ。ここらでグッとくる作品掴まえてひと花咲かせて欲しいものです。