『お前達…誰だ?…ってか…あれ?さっきまで剣持って飛び回ってなかったか?ギューンッ!てさ。巨人を…』
おおっとファルコお前今何言った!?(誰の記憶を共有した!?)
いきなりでっけぇアニオリフラグぶっ立ててきたな。スタッフ交代の挨拶状か?
「進撃の巨人 The Final Season 第1話(通算第60話)・海の向こう側」(2020年12月6日深夜NHK放送/牧田佳織演出)
エレンらが遂に辿り着いた壁の向こう側。そこには海が。そして海の向こう側にも「歴史と都合と諸般の事情」がありました。
大国マーレが計画した「始祖の巨人奪還作戦」失敗から4年。
ライナーらがパラティ島に潜入し、5年の月日をかけたにも関わらず、始祖の巨人は進撃の巨人と共にエレンに奪われ、超大型巨人はアルミンに継承され、超硬質の水晶体の中に自らを閉じ込めたアニ・レオンハート(女型の巨人)も調査兵団の手中に。
戻ってきたのは手ぶらのライナー(鎧の巨人)とジーク(獣の巨人)のみ。
巨人というアドバンテージが絶対なものでなくなったマーレは諸外国に付け入らせる隙を作り、現在は4年に渡る中東連合との戦争を継続中。
その最前線には次代の巨人継承者となるはずの戦士候補生らの姿もありました(冒頭の台詞はその一人ファルコの意識と記憶が榴弾の衝撃で一時的に吹っ飛んだ時のもの)。
手榴弾握っている少女がマーレ編の「顔」となるガビ。
…という「えっと…今までの話はどこに行っちゃったんですか!?」な新装オープン記念式典。
予備知識のない方は「なにそれここどこあんた誰?」状態だと思いますが、大丈夫、原作組も当時は「何が始まったの?」状態でしたから。
さて長らく続いた戦争も大詰め。
ナバロンの要塞をスケールアップしたスラバ要塞を制圧して、その下にある軍港の中東連合艦隊を沈めればマーレの勝ち。
スラバ要塞襲撃の切り札は無垢の巨人。
無垢の巨人を宿したエルディア人が飛行船からパラシュート降下。その途中でジークが叫んで全員巨人化。
大質量の肉塊と化した巨人がスラバ要塞に雨あられ。半分は衝突の衝撃でお陀仏でしたが、生き残った巨人が敵兵入れ喰い踊り喰い。
露払いが出来たところでライナーが降下。鎧の巨人となって鎧袖一触…となるかと思いきや、中東連合の切り札、150mm口径から放たれる徹甲弾「対巨人砲」の前に片腕消失。
あの「鎧の巨人」ですら近代兵器の前では無敵ではない。時代は巨人を過去の遺物にしようとしています。
全編、銃弾・砲弾・榴弾、そして巨人が飛び交う戦闘シーン。この中で国家、民族、時間軸、新たな登場人物をきっちり説明(動きと情報量を考えれば満点の仕上がり)。
視聴者完全置いてきぼりを避けるためか、ラストにアルミンのナレーションとジャンと思しき紳士を挿入してto be continued.
ここから一見どう繋がるのか分からないピースがあちらに嵌りこちらに嵌りしながら巨大なタペストリーを描いていくわけですが、問題は回を追うごとにウザ憎たらしくなるガビをどこまで愛せるか、ではなく、とんでもない広がりを見せるお話を如何に破綻なく切って繋げてまとめるか。
小林靖子からバトンを受け継いだシリーズ構成・瀬古浩司と荒木哲郎から引き継いだ監督・林祐一郎の手腕に期待します。
★原作該当巻のご紹介はこちら。
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★本日12月10日はケネス・ブラナー(1960~)の誕生日(おめでとうございます!)
役者単独から監督/製作、監督/脚本、監督/主演、もしくはこれら全部のマルチタレント(って書くと何か軽くて嫌ですね)。
監督/主演作で印象深いのは「愛と死の間(あいだ)で」(1991)とこれ。