『でもこんなもの正義とは言えません!』
『正義じゃ?じゃ聞くがの、正義とはなんじゃ?』
『勿論、法に沿って捜査をし、暴力団を撲滅することです』
『ほんなら法律が極道シバいてくれるんか、お?
それじゃ足らんけ、ワシらがおるんじゃなぁんか。何が撲滅じゃ。
極道を法律で抑えつけた所で何も変わりゃせんわい。
地下に潜って見えるものも見えんようになる。
極道がバッジ外して背広着て、堅気と見分けがつかんようになるんど。そんなんが正義なんかい。
奴らを生かさず殺さず飼い殺しにしとくんがワシらの仕事じゃろうが!』
立場も内容も全然違いますが、ふと「広島死闘篇」の大友(千葉真一)の台詞、
『神農じゃろうと博打うちじゃろうと、わしら美味いもん喰うてよ、
まぶいスケ抱くために生まれてきちょるんじゃないの。
そりゃ銭がなきゃ出来ゃせんのぜ。
そじゃけん、銭に身体張ろう言うんのどこが悪いの?!』
を思い出しました。どちらも目的遂行のための手段の正当化を叫んでいます。
時に昭和63年(1988年)。暴対法制定まであと3年(施行まで4年)。
昭和を全うした最後の年。場所は広島。
対立するヤクザ組織。その間で清濁併せ喰らう暴力班捜査主任・大上(役所広司)。
県警から大上配下に回されてきた広大出の新米キャリア、日岡(松坂桃季)。
手続きって何?倫理って美味しいの?な大上の捜査に面食らう日岡でしたが…。
水面下で燻っていた抗争の火種は些細な切っ掛けで簡単に爆ぜて広がり…
『どっかで落としどころを作らんといかんのじゃ。お前ら戦争になってもええんか!?』
『アホか! 戦争はもう始まっとるんで!』
組長尾谷(伊吹五郎)収監中の留守を預かる尾谷組若頭・一ノ瀬(江口洋介)…が細い。
対立する加古村組若頭・野崎(竹野内豊)も頑張っているのですが細い。
ベテラン中堅若人(特に尾谷組の鉄砲玉役の中村倫也)がいい味出している中、この2人だけが浮いていました。
『極道と関わる言うんは曲芸師になったようなもんじゃ。綱の上に乗ったら最後、極道の側に傾き過ぎても、警察の側に傾き過ぎても落っこちてしまうきの。落ちんようにするにゃ歩き続けるしかな…。のう広大、わしはもう綱の上に乗ってしもうとるんじゃ』
映り込む全てが演技をしている見事なワンシーンワンカット。
大上は本当に悪徳刑事なのか。彼が本当に守ろうとしたものとは。
今の時代に「県警対組織暴力」を作ろうとしたらどうなるのか。
勿論、あの時代の熱や圧や迫を再現することはできません。が…、
久々に東映の三角マークが光って見えました。
★ご参考
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★本日2月16日は多岐川-聖獣学園-裕美(1951~)の誕生日(おめでとうございます!)
「俺たちは天使だ!」の藤波悠子も捨てがたいですが、いきがり兄ちゃんをカミソリでそっと撫でてあげるこちらがお気に入りです。
★本日のTV放送【13:35~テレビ東京/午後のロードショー】