『もう、生きている意味なんてないんだよな…』
『意味なんてないんですよ。
生きているから生きるんです。
もう…悔い改めるとか、神がどうのこうのとか…
どうでもいいじゃないですか』
大杉漣、最期の演目は死刑囚に寄り添い、残り時間を共に生きる
きょうかいし。耳慣れない言葉です。
受刑者に対して教誨(教え諭すこと)を行う者。
「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」(通称:刑事収容施設法)第68条(宗教上の儀式行事及び教誨)に「被収容者が宗教家の教誨を受ける権利」が記されています。
教誨は全受刑者に参加の義務がある「一般教誨」と自由参加の「宗教教誨」の2種類。
佐伯保(大杉漣)は牧師(つまりプロテスタント)。
教誨師になって半年。月に2回、拘置所を訪れ、死刑囚と面談するのがお仕事です。
キリスト教の教誨を希望した死刑囚は6人。
話好きな浪速のオカン・野口(烏丸せつこ)、革命家を気取る理論家で皮肉屋の高宮(玉置玲央)、気のいいヤクザの親分・吉田(三石研)、ひたすら無言を貫き決して心を開かない鈴木(古館寛治)、人が好過ぎて貧乏くじを引きまくっているのに全く気に留めない文盲の老人・進藤(五頭岳夫)、気が弱すぎてひたすら悔恨の海に沈んでいる小川(小川登)。
はじめの内は神の愛、赦し、己の行為に向き合うことを教え諭していった佐伯ですが…。
場面のほとんどが殺風景な面会室。対面した二人の会話が延々。
極めて演劇的な空間なのに「映画」を感じる不思議。
烏丸せつこ、こんなになっちまったかぁという感慨もありましたが、重要な役どころになるのは高宮と進藤。
世界をより良くするために社会的弱者17名を殺した高宮。
博識と饒舌を以て佐伯の綺麗ごとを一言で論破してしまうワンワード・キラー。
片や読み書きも出来ず、神の赦しと言う話を聞いても『わたしひとりが救われるのはちょっと…』とこれを拒否する進藤。
会話の中から浮き上がって来る、彼らの犯した罪と佐伯の過去のトラウマ。
そしてやってくる死刑執行の日。
教誨師に一番必要なのは聖書でも讃美歌でもなく…。
沁みいる作品であると思います。
『メリー・クリスマス…って言うにはまだ早いか』
『いえ…メリー・クリスマス!』
★ご参考【お亡くなりになった時の追悼記事】
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★本日6月10日はひし美ゆり子姐さんの誕生日(おめでとうございます!)
ゆり子さんと言えば永遠のヒロイン、友里アンヌ(年齢などない!)。
本日はアンヌ隊員が印象的だったエピをふたつほど。
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】