義父は寝たきり。息子は引き籠り。夫は仕事に現実逃避。
おまけに外は…。
『随分早かったんですねえ。どうでした、会社』
『そんなもん、辿り着ける訳ないよ』
おまけに外は…ゾンビまみれ。
「ニート・オブ・ザ・デッド」
(2014年/南木顕生監督)
人類終焉オープン・リーチな世界で家族の在り方を問う38分のデストピア。
義父の世話と家庭内暴力に走った挙句に引きこもりになった息子の世話でテンパリまくりの妻(筒井真理子)。気晴らしと言えばハーブの栽培くらい。
夫(木下ほうか)の仕事は多分食品卸かスーパ―のバイヤー。誤発注で引き取ったカップ麺の箱がリビングの一角を占拠中(結果的に災い転じて食糧確保)。
寝た切り親父の様子見に行ったら息してない…けど動いている。
よく見りゃ腕に噛み跡。いやいやいや寝たきりだぞ。外に出られるわけがない。
と言う事は…
家の中に親父を噛んだ奴がいる。
容疑者は2階で引き籠っている息子ただひとり。見に行けば案の定…
カメラはほぼ全編家庭内。夫婦漫談のような会話劇ですが、尺の短さもあって一気に魅せます。
人でなしDV夫演らせたら日本一な木下ほうかが状況に翻弄される小心者という設定も斬新で可笑しかったですが、ここはやはり筒井真理子。
息子のゾンビ化を切っ掛けに溜まりに溜まったストレスを爆発させる様が何とも心地良く。
息子がゾンビになっても庇護しようとする母性も厭味無く妙に可愛い。
とっとと(息子を)廃棄しようと言う夫と、この子ひとりじゃ餌(人間)獲って来れないから駄目よ、と言う妻の対立の行方は…。
『おお、流石は要介護認定5だな。ゾンビになっても起き上がれないよ』
寝た切りゾンビに感心するところはじんわりと笑かせてもらいました。
本編と関係ない所で大笑いしたのはAmazonのビデオ内容紹介文。
「表題の“ニートゾンビ"を演じるのは、本作で本格的なスクリーンデビューを飾る金子鈴幸。フレッシュな魅力が炸裂している」
いや、ゾンビ化以前の回想とかなくて、最初からゾンビであーうー言ってるだけの人捕まえて≪フレッシュな魅力が炸裂≫って…。
FLESH(食肉)に引っかけた駄洒落だったのか…。
監督の南木顕生(なぎけいし)は、長く脚本畑(エロからグロまで。極道から怪獣まで)を歩んできた方。
本編が初監督作でしたが、同年急逝(没年62)。
今更ですがご冥福をお祈りいたします。
★ご参考【木下ほうか放送禁止2連発】
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★本日6月14日はやたらめったらアメリカな日。
- 1777年 星条旗をアメリカ合衆国の国旗に制定。
- 1789年 ケンタッキー州でバーボン・ウイスキーが誕生。
- 1938年 『スーパーマン』が掲載された漫画雑誌『アクション・コミックス』が創刊。
- 1946年 ドナルド・トランプ(第45代アメリカ合衆国大統領)が誕生。
どーですか、お客さん。さて、これらにちなんだアメリカっぽい作品って何だろうと悩んだ結果、この2本にすることにいたしました。まずは…
もう1本はミスター星条旗が飛べないスーパーマンになったこちらを。
★加えて、本日6月14日は椎名誠(1944~)の誕生日(おめでとうございます!)。椎名さん絡みの記事なんて書いた事あったっけ?と思いましたがありました。オススメの1本が。