1979年11月11日、テアトル銀座。短い寝落ちを挟みつつも乗り越えた232分。
当時のメモにはただ一言『眠い!』と。
あれから37年。あの頃に比べれば多少はギリシャの歴史も知っている。今ならすんなり話も入ってきて、Amazonレビューのような頭良さげなコメントがまろび出てくるやもしれぬ。きっとそうに違いない。
よし、リマッチだ。
…駄目でした。私とテオ・アンゲロプロスの間には日本海溝より深くて暗い溝があるようです。
37年ぶりの挫折。
「旅芸人の記録」(1975年/テオ・アンゲロプロス監督)
まず、これDVDとかで観ちゃ駄目です。ほとんどの画面が引き。寄りほとんどなし。結果、誰が誰だか(ハゲとかデブとかチビとか身体的特徴がないと記号として認識できない)。
しかも、何の断りも無しに時代が行ったり来たりしやがります。それもワンカットの中で。カメラが登場人物をフォローしてパンしながら戻ってくると違う時代になっているシームレス構成。
勿論そこには時代を示すアイテムがさりげなく写っていたりするわけで、明晰な人たちはこの自由奔放なカメラワークを絶賛する訳ですが、私のような動体視力もない偏差値貧乏野郎にはハードル高すぎ。
せめてデジタルレストアされたBlu-rayであったなら…。いや、そういう問題じゃないか。
歴史観や演劇論、映像論を交えながら本作を絶賛し、インテリゲンチャの仲間入りをするという稀有壮大な野望はあっさり潰えてしまいました。
ま、お前にはゾンビとやくざとアニメがお似合いさという神のお告げでありましょう。
1979年度 第53回 キネマ旬報ベスト・テン 外国映画 1位