デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

腹に突っ込むにはちとデカい。Uマチックと1インチビデオテープの思ひ出

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本日10月29日は「ホームビデオ記念日」

1969年(昭和44年)のこの日、ソニー松下電器・日本ビクターが世界初の家庭用カセット式VTRの規格「U規格」を発表しました。

「U規格」(ソニーの商標はUマチック)とは何ぞや。

それまで「1インチ(25.4mm)×オープンリール方式」だったビデオテープの規格を「3/4インチ(19mm)×カセット方式」にした画期的な発明です。

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これが➡これに!

 

私、以前「企業内教育用ビデオ」なんてものを企画する会社にいたことがありまして。

営業マン用の教育ビデオの現場に入った時のお話。

業務用としてはUマチックが主流だったにも関わらず、外注した撮影部隊が持って来たのは「1インチ用ポータブルレコーダー」。

こんな👇感じの奴(ヤフオクで680万円の値がついていた!)

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『え…インチで撮るんすか?』

1インチ用ポータブルレコーダーって起動が悪くて、録画開始してから画像が安定するまで10秒はかかるのよ。

『はい回りました、10秒前。(9はCueと混同するので数えない)8、7、6、5、4、(3からは声を出さずに指だけ出して0でCueの合図)』

毎回こんな感じで煩わしいったらありゃしません。

撮影後半はカメラのおっさん(フリー)がキレて、しぶさん(3/4。Uマチックの事)に変更になりました。

家庭用VTRとして開発されたU企画ですが、デカイ・高いが祟って普及せず。業務用として命を繋ぐことになります。

代わりに登場したのが1/2インチカセットテープ、ベータマックスVHSです。

何故、β、VHSの誕生日ではなく、U規格発表日を「ホームビデオ記念日」にしたのかと言えば、ソニー、ビクター両陣営に忖度したからに他なりません。

※因みに日本ビクターが世界初の家庭用VHS方式ビデオテープレコーダ「HR-3300」を発売したのが1976年の明後日、10月31日。


映画の小道具もβかVHSでUマチックが登場した作品はちょっと記憶にありません。

ビデオドローム」もβだから腹に挿入できましたが、これがUマチックだったら『す、すんません、無理っす』ジェームズ・ウッズ)になっていたでしょう。

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VHSの代表はやはり「リング」呪いのビデオでしょうか。

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ホラー以外で印象深かったのはリンチの「ロスト・ハイウェイ」あたり。

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ファウンド・フッテージ・スタイルは(特にホラージャンルに於いて)すっかり定着しましたが、素材となるのは大抵フィルム(8mm、16mm)かデジタルビデオでなかなか家庭用アナログビデオカセットにはお目に掛かれません。

誰かUマチックか1インチが重要な小道具になる(再生機材がなくて中身が確かめられない、みたいな)映画撮ってくれないでしょうか。

★ご参考

 

 

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