村である必要も樹海である必要もないよなぁ。
そもそも元になった都市伝説が(改竄に改竄を上塗りされて)全く原型を留めておりません(全方位ハッタリ詐欺)。
いやそこ全部に目を瞑ったとしてもお話として成り立っていません(全方位支離滅裂)。
これは最早「天賦の才」。
「樹海村」(2021年/清水崇監督)
前作「犬鳴村」の雰囲気を立ち上がりで破壊したYoutuberアッキーナが再び登場(この時点でもううんざり)。
左が「犬鳴村」、右が「樹海村」
明るく元気に樹海に入るバカタレYoutuber。これで「掴みはOK」とか思っているのだとしたら救いがない。
本作がベースにしているネットロアはふたつ。
❶「富士の樹海には死にきれなかった人間たちによって作られた村がある」という樹海村伝説。
❷「自分たちを迫害した相手の一族を根絶やしにするための呪殺道具」であるコトリバコの伝説。
樹海村はお名前拝借程度の扱いでメインになっているのはコトリバコ。
背景設定がたぁくさんあるのですが、扱いが面倒くさいと思ったのか、まるっと無視または捏造もしくは改竄。今日は俺が考えた新しいコトリバコの伝説を紹介するぜぇなノリ。
流布された伝説によれば、
- コトリバコが生まれたのは1860年代後半(無視)。
- 作り出したのは隠岐の叛乱実行犯の一人(無視)。
- この男が叛乱後逃げ込んだ島根のとある村で命乞いの条件として伝授。「助けてくれたら武器をやる」(無視)。
- その村は周辺から筆舌に尽くせぬ差別と迫害を受けていたので、この男が提示する復讐の道具に飛びついた(無視)。
- 基本レシピは、簡単には開けられない仕掛けのついた箱を作り、その中を雌の獣の血で満たし、更に間引きされた子供の一部(人差し指等)を入れ、呪いたい相手に送りつけるか冷暗所に隠す(無視&改竄)。
- コトリバコを送られた家は女(閉経後の女を除く)と子供の内蔵がよじれて血反吐を吐いて死に、子孫を作ることが出来なくなった一家は根絶やしになる(無視)。
コトリバコは子取り箱。目的は根絶やしなので、女・子供にしか効きません。
一種の細工箱なので、そんなに大きなものではなく、イメージ的には「ルマルシャンの箱」が近いような気がします。
で、出て来た箱がこちら。
でっけ~(笑)。しかも装丁が「6面体の死者の書」。いや、それは違うだろ。
関わったら性別・年齢関係なしに死んでいくのもルール違反な感じでなんだかなぁ(大体、誰が誰を呪ってんだよ。無差別殺戮は呪怨だけでいいだろ)。
出自も目的も作り方も効能も見てくれも全部放り投げて俺ジナル満開。
これなら「コトリバコ」ってタイトルにして「裏世界ピクニック」で取り上げてくれた方がなんぼか面白かったと思います。
タイトルにもなっている樹海村ですが、実は樹海は心や身体が普通じゃない人間の廃棄場所だったという新解釈。
死にきれなかった者ではなく、捨てられた怨みを持った人間が作った集落が樹海村。
いや、それじゃ「デンデラ」だろ。
しかもこいつら人なんだかゾンビなんだかミュータントなんだか森と融合した新しい生き物なんだかよく分からない恰好。一番近い表現は「森の山海塾」かな。
まあ、爆笑暗黒舞踏って感じです。
途中の話もぶつ切りであっち飛びこっち飛び起承転結が彼岸の彼方。更に時間軸まで中途半端にいぢっているものだから辻褄合わずに大混乱。
117分と言うこの手のホラーとしては長尺な割りには全然話にまとまりがありません。
真面目な話、清水監督はもう映画撮らない方がいいのではないか…って思ったらまた同じ脚本家と組んで今度は「牛首村」ですかそうですか。
自分の首刈っちまいそうだなあ…。
★犬鳴村に関してはこちらを。
★棄てられし者の恨みが観たければ、
★本日11月24日は、金融業『光クラブ』の経営者・山崎晃嗣が青酸カリで服毒自殺した日(1949年)。
「光クラブ事件」をベースにしつつ、青酸カリじゃ地味だよなぁって事でビルごと燃やす焼身自殺に切り替えてド派手なオープニングを飾ったのが、
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】