『みんな敵だギャ!いつも喰うか喰われるか…だから俺にはキバがいるんだギャ!』
第1話が掲載された『週刊少年マガジン』が各自治体で有害図書指定され社会問題に発展したジョージ秋山の問題作…のフルCGアニメ化…なのですが…。
はて、こんな話だったっけ?というのが第一印象。
本棚から原作引っ張り出して久しぶりに通読。
あ、こりゃやっぱり別物だわ。
「アシュラ」(2012年/さとうけいいち監督)
基本情報はこちらから。
絵巻物風の筆致はいい感じ。漫画独特のデフォルメキャラを一部劇画風にしたのも正解(特に法師)。
大筋は原作通りなのですが、尺の都合とは言え、ちいっと枝葉を払いすぎ。
狂女としてアシュラと再会するはずの母親(藤乃)はOPだけで出番終了。
アシュラの名前を法師が決めちゃダメでしょ。そこは母親のお勤めですよ。
アシュラの父である散所太夫に至っては影も形も。
基礎教養って事でスルーされたのかもしれませんが、荘園と散所の関係とか何の説明もないので、そこいらへんの階級差別も分かりにくい。
メインヒロインとなる若狭(荘園の小作の娘)の扱いも微妙。
本来は餓死ギリギリの極限で、散所の労働者である七郎(本命だが極貧)と荘園の最大小作である彦次郎(特段悪人ではないが立場上悪者)の選択を迫られる立場なのですが、アニメでは彦次郎が登場しないので、若狭の苦悩も七郎の絶望も実に中途半端。
アシュラが持ってきた肉(アニメでは馬肉、原作では最初は人肉、後から猪の肉と言い直しているが真偽は不明)に対する若狭の反応も真逆。
アニメではアシュラの馬肉という言葉を信じず「人間の肉なんか食べられない」と頑なに拒否しますが、原作では人肉と聞かされても構わず口にしています。
若狭を聖女のように描きたかったのかもしれませんが、ここは人肉と知った上で喰わないと人間の業が浮かび上がってまいりません。
何十メートルあるんだよ!?な吊り橋の両端から火がかけられる原作にはない絵面はなかなかに見応えがありましたが「さあここで感動しなさい」な演出が鼻について興ざめでした。
「生まれてこない方がよかったに」をこれでもか!と畳みかける原作ラストを無視して、ハッピー後日談に繋げる安直さもちょっと…。
あと、アシュラが声を出した瞬間「悟空かよ…」になっちゃったのが一番のカックリポイントでした。
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1692年のこの日、アメリカ合衆国マサチューセッツ州セイラム村でセイラム魔女裁判が始まりました。
セイラムと言えば、
★もうひとつ、本日3月1日はザック・スナイダー監督(1966~)の誕生日(おめでとうございます!)
ザック監督、私の中ではちょっと残念無双な箱に入っちゃってるんですけど、相性悪いんすかね。