デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

世界自転車デー記念。ポストマン・ブルースと気になる自転車映画。

『花ちゃん、ちょっと頼みがあるんだ』

『お、おう、何でも頼んでくれよ』

『その自転車、貸してくんねえか』

『…おう!持ってけよ』

『…じゃあな』

『ツネ!…ちゃんと、自転車、返しに来いよ』

本日6月3日は「世界自転車デー(World Bicycle Day)」

2018年(平成30年)4月の国連総会で制定されました。

言い出しっぺの社会学教授(レシェク・シビルスキー)の思惑はさておき、自転車最大の特徴は人力であるという事。

つまり漕がなければ動かない。逆に漕ぎ方によって速くも遅くもなる。小回りが利いて武器にもなる。漕ぎ手の感情を乗せやすいアイテムという事です。

映画で自転車と言えば古くは「自転車泥棒」「E.T.」、最近ではメッセンジャーのような職業絡みが主流でしょうか(スポーツ系は興味ないので無視)。

曼荼羅畑的自転車映画を挙げるなら…

「ポストマン・ブルース」(1997年/SABU監督)

≪悲劇のハッピーエンド≫という言葉を産んだ不条理青春映画。

判で押したような索漠とした日常に嫌気がさしている郵便配達員・沢木(堤真一)。

沢木と不治の病に冒された少女(遠山景織子)が交わしたある「約束」。

本人のあずかり知らぬ所で誤解が誤解を生み、いつしか連続バラバラ殺人の犯人になってしまう沢木。

話があれよあれよという間に大きくなっていく過程は本来ならコメディとして描かれるべきところですが、SABU監督にそっち方面の才能がびた一文ないので、ただただ警察が馬鹿で理不尽というストレスフルな展開に(「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」の警察描写とか見習ってほしい)。

それでも、何も知らずに警察の包囲網に自転車で突っ込んでいく沢木を助けるために、幼馴染の魚屋の自転車を借りて駆け付ける殺し屋ジョー(大杉漣)とクリーニング屋の自転車をガメて追いかけるやくざの友人・野口(堀部圭亮)の描写は素晴らしい。

事情も聞かずジョーに自転車を貸してくれた魚屋の花ちゃんの『ちゃんと、自転車、返しに来いよ』にはグッときました。

で、この殺し屋ジョーが、自転車かっ飛ばしながらもちゃんと自転車の運転ルールを守っている(左折前に左手をウィンカー代わりに横に突き出す)のが何ともおかしく…。


非常線の前で横一列に並ぶ3台の自転車には「ビッグウェンズデー」のクライマックスを重ねてしまいました。

そして守られなかったけど守られた「約束」。

ラストで誤魔化されてしまった感満開ですが、大いに誤魔化されたいエンディングでした。

アクション系で1本挙げるなら、

プロジェクトA(1983年/ジャッキー・チェン監督)

裏路地を爆走しながら周りにあるもの全て利用して繰り広げられる自転車アクション。


アクションの合間にコメディを挟むジャッキー・イズムは、作品によって当たり外れ(というか好き嫌い)が分かれるのですが、これは全編大当たりでした。

おまけ

ホラー代表でこの人も。

三輪車ですが、これもまあ自転車ですよね。

 

★ご参考【アニメで自転車と言えば…】

 

 

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★本日6月3日は長澤まさみ嬢(1987~)の誕生日(「シン・ウルトラマン」大ヒットと併せて、おめでとうございます!)

にしても平成ゴジラの小美人を巨大化させるとはホント、エスプリの効いた演出でした。

本日は支える女神として一歩引いたこの2本を。