幾人もの罪人(本当に罪人なのか、邪教徒・異教徒なのか、単なる冤罪なのかは不明)を吊るし屠って来た処刑の樹。
時を経て切り倒されたその樹は職人の手でキングサイズのベッドに。
怨念を煮〆た死のベッドは現在とある風俗クラブ(風俗嬢・特殊性癖者御用達ラブホ)の18号室に鎮座しておりました。
「タイム・ダイレイション ー死のベッドー」(2016年/ジェフ・マー監督)
小洒落た邦題がついておりますが、原題は「BED OF THE DEAD」。分かりやすいB級ホラーです。
風俗クラブで爆発事故。死体は5つ。18号室に男女各2、ドア外の廊下に男1。
現場に駆け付けた刑事バージル(コリン・プライス)の目に飛び込んで来た異様な状況。
室内の4人は一様に焼け焦げていましたが、爆発による焼死体はひとつ。
残りはドア外の1名を含んで全員爆発前に死亡していました。
ふたりはベッドの下で、ひとりは全身の骨をバキバキに折られて、そしてひとりは内臓をまるっと抉り取られて。
こりゃ一体どういう事じゃろかいと?
途方に暮れるバージル。と、遺留品の携帯にショートメール着信。
《助けて!警察を呼んで!18号室よ!》
それはたった今検分した焼死体の女サンディからのSOS。
時間を聞けば今から2時間前。まだ彼女は生きている!
という「18号室の惨劇」と「タイムリミット2時間で全員死亡の惨劇回避に奔走する刑事」を同時並行で描くタイムパラドックス・ホラーです。
似たような構造の作品にデンゼル・ワシントンの「デジャヴ」がありますが、あれを極限までスケール・ダウンした感じ。
犠牲者には皆、贖罪しなければならない過去がありました。
それは事件を追うバージルも同様で…。
あちこち説明不足な所はありますが、良く出来た小品であったと思います。
★タイムパラドックスを利用した(逆手に取った?)良品をひとつふたつみっつ。
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★本日12月16日は戦後日本裏面史の生き証人・安藤昇(1926~2015)の命日。
逝去時追悼記事とその後に取り上げた作品から代表1本を。