この後、めちゃくちゃ捗った。　僕の心のヤバイやつ ♯1-4 - デストピア経典～曼荼羅畑でつかまえて（三代目）

市川京太郎。中学2年。日本全国どこに出しても恥ずかしい中二病。

「殺人大百科」を読みつつ、日々殺人の妄想に明け暮れ…。

昼休みは教室内の喧騒が煩わしいので、ひとり図書室へ。

そこは誰にも邪魔されない静謐な空間…のはずだったのに今日は先客が…。

山田杏奈。モデルもやっているという校内一の美人。今、京太郎が一番殺したいと夢想しているクラスメイト。

普段は取り巻きのような友人に囲まれている彼女が何故かひとり。しかもやたらでかいおにぎりを頬張っている…って今、給食喰ったばっかだろ、と驚く間もなくパーティサイズの大袋ポテチを開けて上機嫌（何かゴリラっぽい鼻歌まで）。

何者なんだ、山田杏奈。

「僕の心のヤバイやつ／第1-4話」（2023年4月テレビ朝日放送／赤城博昭監督）

陰キャの中二病男子と陽キャのモデル女子。

かつて中二病だった黒歴史を持つ者（例：「中二病でも恋がしたい」富樫勇太、「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」比企谷八幡）ではなく、現在進行形の中二病患者というのがミソ。

所属社会（階級）が違う上に自己肯定感がゼロなので相対距離開きまくりの山田に殺意を募らせていきますが、卑しがりな一面を見たことで、これまでとは違う視線を送るように。

観察眼は優れているようで、山田が困っていると察するとそれとなくアシスト。

助けに入るのではなく、より目立つ行動を取って周りの視線を自分に逸らすという力業。

登校時に、チャラい先輩（京太郎命名「ナンパイ」）に執拗にラインのアドレスを聞き出されそうになっているのを見た京太郎は自分の自転車を坂の上から全力投球。

坂道を駆け抜けた自転車はT字路を突き抜け、金網飛び越えて川へ。

『何で（自転車を）投げたの？』という山田の問いに、

『アクセルとブレーキを間違えて…』

アドリブにしては上出来だぞ、京太郎。

あと中二病なら自分のチャリには名前をつけないと。

轟天1号とか流星2号とか。GR3とかでもいいぞ。

京太郎が自身の感情に気づいたのは第3話。

体育の授業でバスケットボールを顔面に受け、鼻血が止まらなくなった山田。

翌日に予定されていたモデルの仕事をキャンセルせざるをなくなり、電話で泣きながら母親に謝る山田に何故か京太郎もらい泣き。

『え? いやいや、何で僕が泣くんだ…？

　ああ、僕は…山田が好きなんだ』

翌日、痛々しい絆創膏姿で登校してきた山田。

幸い、骨は無事でしたが、もし折れていたらという不安と安堵。そして親やマネージャーの慰め。

『中学生だからしょうがないとか、子供だから怪我する事もあるとか、そう言われるのが一番、悔しい！』

普通の中学生は恐らく持ち合わせていないであろう責任感と矜持。

山田は京太郎より少しだけ（いや実際にはかなり）大人でした。

そんな「大人」な山田の昼休みは、給食のパック牛乳を使ったプルーチェ（フルーチェですね）作り。

2話の「ねるねるねるね」の上を行く「ひと手間」おやつ。

牛乳パックに直接プルーチェを流し込もうとする雑な対応を見て思わず制止に入ってしまった京太郎。

「正しい食べ方」を実践するために家庭科室に移動するも施錠されていたので化学室へ。

上皿天秤とビーカーと攪拌棒で「正しく」プルーチェを作成し、いざ一気飲み！という所で先生に見つかり、むせた山田はプルーチェをこぼして「妖しい」絵面に。

原作ではこの後「めちゃくちゃ捗って」います。

本作、結構「中二男子のリビドー」に忠実。山田の出ているファッション誌を買って「くだらん！」とゴミ箱に投げ込みますが「勿体ないから1回使ってから捨てよう」とか言っていますし、図書室で山田とに身体接触があった後、トイレに駆け込んでいます。

タイトル画は、「触り方で好きな体位が分かる」心理テストの後で山田に手を握られ（ミルキーをひとつ盗ったと疑われたというどーでもいい理由ですが、触り方から求められる体位は騎乗位）、更に自身のポケットをまさぐってクネクネする山田のビジュアルが重なった時の物。

こちらはトイレに駆け込む直前（タイトル画像ボツ案）。