デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【多少ド派手に転ぶことが多いけど】スキップとローファー #9-10【起き上がるのもムチャクチャ得意】

『私はね、志摩くん、多少ド派手に転ぶことが多い人間だけど…そのぶん、起き上がるのもムチャクチャ得意なんだから』

大分間が空いてしまいましたが、終盤に備えて中締めを。

「スキップとローファー/第9-10話」(2023年5-6月TOKYO MX放送/出合小都美監督)

前半(1学期)で、とりまく面々が抱えるささやかな悩み(自分と他人を隔てる心の壁←ATフィールド)をそれと気づかずに壊して癒してきた岩倉 美津未(いわくら みつみ)。

周辺環境整えた所で、他の人とは一味違う重めのトラウマ抱えて世界から距離を取っている志摩くんとの関係にゆっくりとフォーカス。

後半に備える幕間となったのが、能登帰郷(第9話Aパート)。

起床から電車を乗り継いで空港へ。能登に着くまでを丁寧に丁寧に描写。


明らかに時間の流れが違う能登の日常。


親友との再会。


変わらぬ関係(笑)。


戻りたくないと泣いてダダを捏ねて2学期。

夏休みを経て変わった人、変わらないひと。地元のお土産交換。皆元気。ただ…


志摩くんとの距離がちょっと…。

2学期の一大イベント、文化祭(美津未は生徒会書記となったので関わり大)。

都会の高校は規模が違う。そして進学校はモチベーションが違う(手抜き無し。全力参加)。

その脳内イメージはちょっと違うと思うぞ美津未。


文化祭オリテンの帰り、志摩を見つけた美津未がおみやげの「いかせん」持って走る。

文化祭のスケールのデカさを興奮気味に話しますが、志摩くんの反応は薄め。

はしゃぎすぎを反省して「志摩くんみたいな大人の余裕を持たないと」と去ってゆく美津未の後ろ姿に

≪違うよ、みつみちゃん…俺は資格がないから立ち止まってしまうだけで、躊躇いなくまっすぐ進んでいける君らのほうが…ずっと眩しくて…遠いよ≫

あ~OPの「♪眩しくて眩しくて僕は目を逸らしてしまう」ってのは彼の心情なのか。


去りかけた美津未がふと立ち止まって振り返り、再び走り寄って

『やっぱ志摩くん元気ないから(いかせん)3つあげる!』

精神疲労時の栄養補給にミツミタンD。

美津未のクラスの出し物は演劇、しかもミュージカル(「ザ・ファミリーシンガーズ」となっていましたがベースはまんま「サウンド・オブ・ミュージック」)に決定。

知る人ぞ知る名子役(学内で知っているのは古くからの友人向井と演劇部の兼近先輩と美津未だけ)で、その頃の「体験」と「事件」が未だ尾を引いている志摩にとって、これはいささか辛いチョイス。

しかし、断らないノリの良さをキャラにしてしまった志摩はキャスト指名を断れず。

唯一、志摩くんが悩みを吐露できるのが、子役時代からの友人、福永 玖里寿(ふくなが くりす)なのですが、こいつがホントいい奴で。男版美津未。

『そんなキャラ?とか気にして、嫌な事言わなかったりとかってさ、やっぱいつかは無理が来るんじゃねーの。お前もしんどいだろうし。気ぃ遣われている方だって気付くよ、一線引かれてんなって』


『楽しそうだったよ。昔は俺らの中でお前が一番。仕事減っちゃった時とかしんどかったと思うけどさ、ホント、何でだよって思うくらいお前が一番上手かったし…あーまー何だ、あんま気にしないで楽しめよ』

一方の美津未は生徒会雑務に忙殺されまくり。クラスの手伝いもしようとしますが、振られた仕事が「タイムオーバーしているので、通し稽古のビデオ見て時間短縮の脚本修正アイデア出す」。体力追いつかず睡眠取れず打ち合わせにも遅刻して…。

自分への陰口も聞いてしまった美津未にかつて「頑張り過ぎてしまった」自分を重ねる志摩。

志摩の気遣いが痛いほど分かり、自分の不甲斐なさに嗚咽を漏らす美津未。

『志摩くん、劇出るの嫌だったよね。私、前に色々聞いてたし、気付けたはずなのに…と言うか何となく引っかかってたのに、都合よく解釈しようとしてたって言うか…ごめんね』

志摩くんはいそがしい中、こうやって自分を気にかけてくれているのに、自分はやりたい気持ちだけ先走って、周りに迷惑かけて…。

その涙を弱さと受け取って、このままでは自分のように傷ついてしまうのではないか、美津未には自然溢るる田舎での生活の方が性に合っているのではないか、と考える志摩。


美津未は自分とどこか似ている。美津未には自分のようになって欲しくない。

しかし…

『私はね、志摩くん、多少ド派手に転ぶことが多い人間だけど…そのぶん、起き上がるのもムチャクチャ得意なんだから』

嗚呼、この子は自分とは違う。みつみちゃんはみつみちゃんだ。

そして瞬く間に残日数はなくなって文化祭当日。果たして劇の出来栄えは…。

 

 

 

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