デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【皆ヤマアラシ】スキップとローファー #12【ヒロインはコアリクイ】

『みつみちゃん!』

『なに?』

『何でもない!また明日』

岩倉美津未15歳。石川県の端っこの方から来ました。

今日の東京は気まぐれで、高く澄んで、すっかり秋の空です。

そんな綺麗にまとめちゃったら、2期に続けにくくなっちゃうじゃないか。

爽やかすぎて眩しくて。まだまだ続きがありそうで。

やって欲しいなぁ2期。

「スキップとローファー/第11-12話」(2023年6月20日TOKYO MX放送/出合小都美監督)

怒涛の準備期間を経て始まった文化祭。

2日目(最終日)には志摩君の弟(3歳。血は繋がっていない)に導かれるように、志摩トラウマの元凶である母と子役時代の因縁浅からぬ西城梨々華(さいじょう りりか)が鉢合わせ。

遺恨と贖罪、威嚇と牽制の交差点。

眼力ひとつでビビりまくる美津未。

『変わってないですね、おばさん。私に関わって欲しくないのが露骨すぎ。ホント自己中』

一緒にいた玖里寿くん(漢字が似合わないので以下クリス)が止めに入りますが、『黙れ!』と一喝されて、美津未と並んでビビりネズミに。


『おばさん、また聡介を自分の為に演じさせるの?』

ああ、梨々華にはそういう想いもあったんですね。単に己のキャリアに泥を塗った(きっかけを作った)聡介に対するこだわり(執着とも言う)以外に。

古傷抉って母を帰らせ、中学の同級生ダシにしてクラスメイトの前で志摩が子役だった事をバラさせる梨々華。

それが志摩に対する嫌がらせと感じた美津未は咄嗟に2人の間に入り…。


その姿は、ついさっき見た生物部の冊子に載っていた(両手を広げ自分を大きく見せて相手を威嚇する)コアリクイそっくりで。

緊張と弛緩。

思わず笑ってしまう志摩。珍獣の介入で振り上げた拳の下ろしどころがなくなった梨々華。

さりげなく梨々華をフォローするクリス(マジいい奴です)。

自分より志摩の懐に入っている幼馴染というアドバンテージに憧れを抱く美津未。

舞台の上で「自分のやりたい事」を自問自答する志摩。周りが自分に求める事なら分かる。それに合わせることはいけない事なのか。やりたい事があるってそんなに嬉しい事なのか。

演劇部・兼近先輩の舞台を見た後、声を掛けられなかった…いや掛けなかった。

この感情は…嫉妬だ!

その志摩の舞台を見て大感動しているクリス(ホントいい奴です)。


帰りがけ梨々華を呼び止めて「一緒に堕ちようみたいな破滅的な事はもうやりたくない」と告げる志摩。

『俺さ…学校楽しいんだ』

『はあ!? 何言ってんの!? 自分が幸せになりたいから許してくださいって風にしか聞こえないんだけど!あんたがそれ言える立場!?』

『そう…だね。でも、そうだ』


激高して背を向ける梨々華に『ありがとう』

思わず突き立てる中指を絶妙なタイミングで隠すクリス。

今週のベストショット。

『あのね、梨々華さん、あなた、芸能人』


タクシーの中で「(自分が悪いのは)分かってるけど(志摩だって)ズルいじゃん」的に泣きじゃくる梨々華…を慰めようとして相手にされないクリス(とことんいい奴です。ほとんど聖人の域)。


ふっきれたのか志摩の顔に安らぎが。美津未に対する「また明日」という挨拶が感謝のような告白のような。


石川の端っこから東京へ。異文化に接して驚いた美津未ですが、変わっていったのは周りの人達でした。

互いに歩み寄って最適な他人との距離を模索する(ヤマアラシのジレンマですね)。

そして変わった人が更に周りを変えていく。

どれも解決したわけではないけれど、全員が前を向く事はできたような。

ふと「ばらかもん」第1話の『この壁乗り越えんば何も見えんぞ!』を思い出しました。

全体的に脇が光っておりましたが、個人的好印象キャラはクリス、兼近先輩(文化祭の出し物人気投票「部・サークル部門」1位おめでとうございます!)、そして生徒会長・風上紘人(かざかみ ひろと)。


生徒会長になりたくて仕方がなかった高嶺先輩を押しやって生徒会長に就任した時は要領のいいチャラい奴と思っておりました。実際、要領のいいチャラい奴だったのですが、悪い奴ではない感じが最終回で良く出ておりました。不器用ながら高嶺を気遣う描写もありましたし。

制作のP.A.WORKSは2期をやらないことで有名らしいですが、ここはひとつ慣習をまげて2期に着手してもらいたいものです。

 

★ご参考

 

 

 

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★本日6月22日はメリル・ストリープ(1949~)の誕生日(おめでとうございます!)

何故、この人が「美人」の代表格のような扱いで次々恋愛映画に出ていたのか、今となっては蜃気楼の彼方の幻のようで映像にピントが合いません。

曼荼羅畑とはちょっと距離のあるお方ですが、こんな2本立ては如何でしょう?