『ベルトラン、お前は…楽器はできない、歌も踊りもできない、戦力としてもそれほど期待できない』
『ユキト、お願いだ、見捨てないで!』
『お前は…それでも必要な人間だ。お前にはお前にしかできない事があるんだ』
『私はここにいていいのか?』
『ああ。お前の居場所はこの教団だけだ』
『この教団だけが私を受け入れてくれる?』
『そうだ。お前は教団のために何ができる?』
『私は…私は!教団のためなら何だってできる!』
はい、一丁上がり。
そしてこの顔である。
『お前に役割を言い渡す』
「神無き世界のカミサマ活動/第10話・カケマクモカシコキ ミタマノオホミカミ アラタマニギタマニ モロモロノフジョウヲミズ ツクシテウムコトナク ツトメテオコタルコトナク ウヤマヒカシコミモツカヘマツルサマヲ タヒラケクヤスラケクキコシメシテ ソレカミハユヰイツニシテミカタナシ キョニシテレイアリ アメツチヒラケテコノカタ トコヨノオホミカミノ ミタマノミコト キコシメセト カシコミカシコミマヲス」(2023年6月14日深夜TOKYO MX放送/檜垣賢一、稲葉友紀演出)
どうやら神の力を決めるのは信者数だけではないようです。数+質。それは信者間の結束力が強まった時に発揮されるもの。結束強化に最も効果的なツールは何か。音楽です。
という訳で、教団聖歌隊結成。メンバーはアルラル(ボーカル)、シルリル(ギター)、アータル(ベース)、そしてガイア(ドラムス)。
聖歌隊…ってかバンドやん。正に結束バンド。
アイドル素養のないミタマと音楽センス皆無のベルトランは蚊帳の外。
音楽という概念すらなかった(恐らく危険思想として皇帝に抹消された)メンバーですが、そこは適応力で促成栽培(アルラルはミタマの出したトラック運転してますからね。適応力は折り紙付きです)。
お披露目ライブも成功。信者数はそのままなのにミタマの力も増幅されて順調な滑り出しとなりましたが、ユキトには危惧すべき懸案事項、というか危険人物が…。
それはガイア。害獣を作り操る能力をもっているユニコーンのひと柱。流れで教団に入り込んでいますが、思惑が読めません。
ガイアの監視役をとして任命したのがベルトラン。この人、完全に自分を必要としてくれる人に依存する傾向があります(ユキトにしてみればイージー操作のチョロイン)。
ベルトランの監視により、ガイアが非管理地域のカクリで子供5人と共に暮らしていることが判明。
それは宗教の最小単位にして強い結束力を持つ集団…「家族」
上々の首尾にユキトから『ありがとう』と言われたベルトランが乙女全開。いやホント可愛いなあ。元男だけど。
ガイアの組織はまるごと潰して簒奪する。そのためには…あいつの力が必要だ。
という訳だやって来たのが、
お久しぶりですダキニさん。
ダキニの能力を使って、家族の中心をガイアからダキニに挿げ替える。
協力を渋るダキニにユキトは、
『俺はただ、この子たちを助けたいんだろうな』
自分が親に集団を維持するための道具として育てられた過去を、かつてのダキニの行為(子供から性に対する興味を奪って最終的に人間から生殖能力を奪った)に重ね合わせて精神的な揺さぶりをかけるユキト。
『この子たちはガイアが力を得るために利用されている。利用される子供の末路なんて決まっている。価値がなくなったら捨てられるだけだ』
『言っとくけど、あんたのためじゃないからね』
はい、一丁あがり。
そしてこの顔である。
『ダキニを動かすにはやはり奴の過去を抉ってやるのが一番いい』
しかし、自分の過去も抉られているのでした(両刃の剣とはこの事か)。
毎回のことですが、ユキトの悪い顔には癒されます。これこそ最も信頼できる司令官の顔です。
★本日6月17日は加藤泰監督(1916~1985)の命日。
ローアングルの美学を極めたこちらをどうぞ。