デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【10年ぶりに蘇った魔王は】Lv1魔王とワンルーム勇者 #1【さしすせそを嗜んでいた】

『勇者マックスよ…よくぞ魔の王たる余を打ち倒した。しかし我ら魔の眷族は七生を生きる。必ずや蘇りそなたらに血染めの報復を味わわせてくれよう!楽しみに待っていろ!』

お約束の捨て台詞を吐いた魔王が討伐されて10年。

宣言通り復活した魔王は(勇者の寿命が尽きる前に復讐を果たそうと大急ぎで眠りから覚めたため)魔力の蓄積が足らず子供体型に(中の人はジャヒ―様)。


『この度は復活おめでとうございます。陛下』

出迎えたのは一目で変態と分かる秘書官ゼニア(中の人、日笠じゃん)。


『こんなこともあろうかとこの秘書官ゼニア、今の陛下にもお似合いになるお召し物を見繕っておきました』

しかし出て来た服は…。


目覚めたからには何はさておき勇者マックスに復讐だ。しかし、何故かゼニアの口が重い。

『そなた余になんか隠しておるな。勇者について何か余に知られたくないことでもあるのか?』

まさか、既に死んでいるのではあるまいな!? 問うて正して押し倒し馬乗り。

ゼニアのアングルがおかしい…。


第3の目で勇者の波動を感じ取った魔王は、止めるゼニアを引きずり倒して、波動を辿って人間界(王都)へ。

ええっとそこって所謂「異世界」なんじゃないの。どう見ても日本ですが…。


バンダ荘並みのボロアパートの一室に勇者はいました。運命の再会です。

「Lv1魔王とワンルーム勇者/第1話・魔王復活!」(2023年7月3日TOKYO MX放送/井上圭介演出)

薄暗い室内はゴミまみれ汚部屋。万年床にだらしなく横たわるおっさんと角を生やしたセーラー服の子供。

見つめ合うふたり。


『なんだ?お前』

『…ああ失礼。ちょっと間違ったようだ』

しかし、ゴミの山に立てかけられているのは間違いなく自分を刻んだ聖剣ブレイズブリンガー。という事はやはりこいつは勇者マックス。にしても…

『たるんどる!心身共に!顎なくなりかけとるじゃないか!』

『うるせえ。加齢に伴う自然な変化だ』

あまりと言えばあまりの変わりよう。部屋汚いし臭いし。

『これは食べ物の容器か?すぐ捨てろよ。虫湧くぞ。ティッシュとかも全く…ちょっと片づけてやろう』

『人んちの床のティッシュをよく拾えるなお前』

仮にも魔王を倒した勇者がこのていたらくとは。この10年で一体何が?

本人は「魔族を退けたら用済みになった」と言っているが…。

畳に直置きされたノートPC見つけた魔王は早速「勇者マックス」で検索(すげー適応力だな、流石魔王)。

検索1位は「不倫疑惑」(因みに原作では「未成年淫行」)、続いて「一般人に暴力」、更に「10股交際」(因みに原作では「薬物疑惑」)


『貴様ー!そこまで落ちたか!』

『くっ…その10人全員顔も知らねえって何度も否定したのに「夜の聖剣大暴れ!」とか「俺のブレイズブリンガーは切れ味ハイパーMAX!」とか面白おかしく…』

因みにここ原作では

『ションベンも採られたし、家宅捜索も入ったけどなにも出なかったんだよ!だのに世間じゃ「勇シャブ」とか大麻ックス」とか呼びやがってよお…』

まあどっちにしても最低ですね。

『ああ~…引き締まった肉体、可能性を秘めたまっすぐなまなざし。この頃のそなたはどこへ行ってしまったのだ?』

『お前…俺への執着が少し怖えよ』

もう魔王、勇者のファンですね。

既に昔の仲間との交遊もなく、自業自得で自堕落な暮らしぶり。仲間の寝首を掻いてやると煽っても「金借りてるから丁度いい」。

この一言には流石にキレた魔王でしたが、枕ひとつで返り討ち(気絶)。


腐っても勇者。腕はまだまだ落ちていないようです。

魔王が目覚めるとそこは押入れの中。そっと開けて室内を覗くと…。


勇者が最も見せてはいけないプライベートな営みが…。

おいおい、原作の「パンツも脱いで行為中」が「パンツ脱ぎます行為前」に修正されているとは言え、まだ23時前(AT-Xなら22時前)だぞ。


まあ、主人公の最低ぶりはこれでもか!と表現されておりましたが。

『余がいる時くらいそういうことは我慢できんのか?』

いたたまれない雰囲気の中、コーヒー啜る勇者と魔王。

いずれ再起して人間界を手中に収める。その時は再び自分と闘うのだ、と最後の煽り。

しかしマックスは厭世観満開で勇者に戻る気持ち無し。

『そう…か。わかった。お邪魔したな。もてなし感謝する。さらばだ』

『おう。気晴らしにはなったぜ。じゃあな』

一瞬の邂逅。過去と繋がらない現在。二人のやりとりを見ていて、ふと中島みゆき「おまえの家」を思い出してしまいました。

なにげなくタンスにたてかけたギターを
あたしはふと見つめて、思わず思わず目をそむける。
あの頃のおまえのギターはいつでも
こんなに磨いてはなかったよね。
あんまりゆっくりもしてはいられないんだ。
今度また来るからと、お前の目を見ずに言うと
そうか、いつでも来てくれよと
その時おまえは昔の顔だった。

感傷に浸ることもない索漠とした夜。風呂にでも入るか、とマックスがつぶやいた時、

『ただいまー!台所借りるぞ』


スーパーで買い物を済ませ、踏み台まで持参した魔王がご帰宅。

『そなた栄養足りておるまい。余が鍋でも作ってやろう!』

『えっ?お前…お前何してんの?』

『やはりそなたほどの男をこのまま放っておくのはどうにも惜しい。それに余も変容した人間社会についてもっとよく学ばねばならん。そういうわけでしばらくそなたの家に厄介になるぞ』

魔王がまさかの押しかけ女房!?

ってか魔王、勇者の事好きすぎだろ。

鍋の出来はとってもまとも。

『余はそれはもうさしすせそを嗜んでおるからな。人間界の前にまずはそなたの胃袋から掌握してくれるわ』

落ちぶれた勇者と未発達の魔王。奇妙な共同生活が始まりました。


良く見るともうひとりいますね、同居人。

 

 

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★本日7月6日は「零戦の日」。

1939年(昭和14年)の今日、零式艦上戦闘機(れいしきかんじょうせんとうき)の試作機の試験飛行が始まりました。

零戦が印象的な作品を洋邦ひとつずつ。

 

★本日のTV放送【13:40~テレビ東京午後のロードショー