デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【火炎サビ残と】ガーディアン24【スーパー徹夜撮影の思ひ出】

『警備員のワルテル・キカンバです。当店はあと5分で閉店します。速やかにお帰りを。さもないと…全員地獄にお送りします』

大型スーパーに賊侵入。目的地は搬入口に隣接している宝石店。

壁に穴開けて光り物かき集めてマッハで撤収。

簡単なお仕事のはずでしたが…。

「ガーディアン24」(2019年/ヴァランテ・スージャン監督)

センスの欠片もない邦題でございます。

原題はWALTER。警備責任者の名前です。

ウォルター。彼の母国での発音はワルテル。

ワルテル・キカンバ。南アでに飢えた男」と恐れられていた殺人機械です。


所謂「ただのおっさんだと思ってたらとんでもねー奴だった」系アクションなのですが、先行している諸作とはかなり味わいが異なります。

お話の骨子はプチ「ダイハード」、食品(ジャガイモ)から家電(トースター)、雑貨・薬剤まで店内の販売物を武器にするのはプチ「イコライザー」、悪党さん達が踏んではならない地雷を踏んでしまったために化け物と戦う羽目になる展開はプチ「ランボー」でありプチ「コマンドー」なのですが…。


これらの諸作と本作の最大の違いは、犯人グループがボンクラを煮〆たポンコツ集団だということ。

フランス映画なのに、彼らのやりとり部分だけ香港映画を観ているよう。


ブルースかデンゼルかスライかシュワか、と思わせておいて終わってみればジャッキーな後味。

これはこれで爽やかなので、結果オーライなのですが、「問答無用で死体の山」的な殺伐展開を期待していると激しい肩透かしを喰らいますので、心してご鑑賞ください。

因みに舞台になっているスーパーはセットではなく、ベルギーに実在する店舗だそうです。

字幕ではスーパーと言っていますが、生鮮から雑貨、家電まで網羅した所謂ハイパーマート(フランスではハイパーマルシェ)です。

そこで夜間オンリーの撮影を行ったようですが、常に店側の監視が付き、移動も制限され、監督曰く原発で映画を撮る方が簡単」と思えるほどだったそうです。

閉店後スーパーで思い出すのが昔の仕事。

スーパーマーケット向けの映像教材「生鮮単品マニュアル」なんてものを作っておりました。

私の担当は「鮮魚編」。

スーパーに並んでいる魚がどこで獲れ、どのような荷姿で搬入され、どのように店内加工され陳列されるのか、を動画と静止画で段階的に解説しておりました。

撮影場所は神奈川では割と名の通ったチェーンのお店。勿論、撮影可能時間は閉店から開店まで。

ここに築地獲れたて鮮魚が運び込まれ、撮って捌いてまた撮って。

『伊勢海老が逃げたぞー!』

『なにー!』

撮影後資材はスタッフで美味しく頂きました。

この撮影の最中にブルーザー・ブロディプエルトリコでプロモーターに刺殺」というニュースが飛び込んできたのですが、それはまた別の話。

因みにこの時の上司は「撮影前に教えると伊藤が仕事しなくなるから黙ってた」そうで(その通りだがざけんなよ)。

 

 

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★本日8月20日は「NHK創立記念日」。

1926年(大正15年)のこの日、東京・大阪・名古屋の放送局が合同して、社団法人日本放送協会NHK)が設立されました。

NHKに言いたいことは山ほどありますが、今日のところはこれで勘弁してやる。

「その節はお世話になりました」