デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【百年も千年も万年も】ゴブリンスレイヤーⅡ ♯8|安達としまむら SS/99.9【追憶の中にある限り】

『実際、つきあい1年と少しだけどさ、濃いわね、ホント』

『百年は忘れんじゃねーぞ』

『馬鹿ね、ドワーフは…。忘れられるわけ、ないじゃない』

数百年を生きる鉱人(ドワーフ)、恐らく数千年を生きるであろう蜥蜴人(リザードマン)、そして数万年という永劫を生きる森人(エルフ)。

百と言う数字に達することすら困難な只人(ヒューム)。

エルフの尺度にしたら数か月あるやなしやの一生。それでも…

『一生は一生よ、ねえ様』


ゴブリンスレイヤーⅡ/第8話・闇の奥 ハート・オブ・ダークネス」(2023年11月24日深夜TOKYO MX放送/吉田俊司演出)

エルフの森から更に川を遡行して辿り着いた神殿。そこはゴブリンの巣窟。

カチコミかけて殲滅して、戻れば妖精弓手のねえ様・花冠の森姫(すげー名前だ)の結婚式。

お相手はにい様(従兄)・輝ける兜の森人(もんのすげー名前だ)。

因みに妖精弓手のふたつ名は「星風(ほしかぜ)の娘」です。


今回は、本来「専守防衛」な地母神の奇跡を攻撃に使った(ゴブリン・シャーマンの血を不浄なものとして浄化し真水に変えた)ことで苦悩する神官ちゃん(ゴブスレさんは「よくやった」三連呼絶賛)とか色々見せ場のある回でしたが、印象に残ったのは逃れられぬ種の足枷「寿命」の概念。

それはタイミング良く(?)こんなものを読んでしまったから。

安達としまむら SS」「安達としまむら 99.9」(2023年11月10日初版発行/入間人間著)

豪儀なことに「安達としまむら」の新刊が2冊同時発売。


「SS」は書下ろし含む短編集。「99.9」はBD/DVDの特典小説をイラスト付きで文庫化したもの。

どれも日常の断片を切り取った「安達グラフィティ」「しまむらグラフィティ」なのですが、根底に流れているのは「時間の連なり」。

その事を強く意識していたのは家族。

「生き物の本能ってつまるところなにかを残すって意思だと思うんだけどさ。それならたとえば不老不死の奴と出会って、そいつが私たちのことをずっと覚えているなら、十分なにかを残したんじゃないかって、そう思っちゃうわけ」

安達としまむらが一緒に暮らすと決めた時。安達母の「孫の顔が見たいとか、そういうのは?」という問いに対するしまむら母の答え。

「これからもヤチーは長く、ながーく生きるんだろうけど…わたしたちのこと、覚えていてね」

平均寿命8億年(途中休止期間を挟んで実質無限)の自称宇宙人ヤシロに語り掛ける高校生になったしまむら妹。

そして、しまむらがヤシロと交わした約束。

「もし、安達に会えないやつがいたら、ちょっと様子を見に行っといてよ」

どの世界線しまむらも必ず安達に出会うと言うヤシロに。しまむらが。

「わたしに会えない安達も、安達に会えないわたしも…どこにもいちゃいけない気がする」

その約束は…果たされます。全ては円環の理。

 

 

 

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★本日11月26日は「ペンの日」。

1935年(昭和10年)のこの日、日本ペンクラブが創立されました。国際ペンクラブ(PEN International)の日本センターとして活動をする一般社団法人・日本ペンクラブが制定。

ペンで思い出す言葉と言えば「ペンは剣よりも強し」

元々は、「下位にいる人間がどんなに腕っぷしが強かろうと、上位の人間の命令パワーにはかなわない!」という意味の言葉の一端が切り取られたものだったそうで、今に伝わる意味合いとは真逆なのが面白いところですが、ここにペンと剣の機能を併せ持ったナイスな逸品が…。