デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【そげぶ説教乱れ打ち】ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜 #10-12【日暮の泣く頃に】

『どうせそんなこったろうと思ったぜ。自分の彼女を悪く言うのは勝手だけどよ、そう言うあんたは、結婚記念日に一輪の花でも贈った事があんのかよ? 毎日家の事をありがとうと感謝を伝えて、不満や本音を聞いたことがあんのかよ? いつも彼女を世界一の女として扱ってきたのかよって聞いてんだよ! 相手に興味を持たなくなったのは、失望させたのはあんたの方だ。愛する努力もしねえで、与えることも知らねえで、自分だけは構ってほしいなんて、彼女はお前のママじゃねぇんだよ!

おっとこれは上条先生のお家芸「その幻想をぶち壊す」そげぶ説教ではないですか!?

遅れに遅れた最終3話、クリスマスに一挙放送。

「ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜/第10~12話・ホームタウン オブ ザ デッドⅠ~Ⅲ」(2023年12月25日TBS放送/川越一生監督)

外界から隔絶されたアキラの故郷(日本の秘境グンマーの中の更に秘境)で束の間の平和を満喫する生存者たち。

しかし、その中には「自分らは被害者。悪いのは社会。みんなぶち壊しちゃるんじゃ」という想いに囚われた日暮ら4人の人生落伍組も。

ここに学生時代からその存在を疎ましいと思っていた天真爛漫アキラと邂逅してしまった陰キャ日暮の憎悪に火がついて村人全員ゾンビ化計画がスタート。

トンネルのバリケードを解いてゾンビを流入させ、漏電遮断器を破壊した上でゾンビ&害獣避けの電流柵に過電流。

入口解放出口なし。ショベルカーでゾンビを先導しつつ家屋を焼き払う日暮ら。


ケンチョと対峙したのは、家庭生活の恨みつらみをぶちまける蔵杉重信。

その自分勝手理論に冒頭掲げた正論かましたケンチョは蔵杉ともどもゾンビ群の真っただ中へ。

そして、ゾンビから自身の姿、行動、匂いを遮蔽するため、頭から肥溜めに全裸ダイブ。


正に「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」。

足腰が立たないため「籠城」を選んだ老人たちを守るため、みずから囮となってゾンビを引き付けるシズカ。

『くぅあぁあ!リスクヘッジの欠片もない!絶対にあの能天気共の影響だわ!』


成す術もなく見送る老人たちの後ろでむっくり起き上がったのは、腰を痛めている上に連れ合いに先立たれてからボケが進んでシズカと古女房の区別もつかなくなった(かつては村一番の猟師と謳われた)ヒコじい。

『それで…お前さんらはここで何してるんだい?』

身体が思うように動かないからとシズカを助けようとしない連中を叱咤。

思うようにいったことが一度でもあったんかい? 戦後の農地改革で大規模事業が衰退して、GDPに怯え、後継者問題に悩まされ、それでも必死に鍬握って何とかやってきたんじゃねえんかい。台風、猛暑、冷害…自然の猛威っつうもんに何度打ちのめされても今年こそはって、歯ぁ食いしばって今日まで生きてきたんじゃねえんかい!ゾンビくらいなんじゃあ!

何と二人目のそげぶの使い手はヒコじいでした。正しすぎる千葉繁の使い時。

シズカを「無理矢理ベロチューの生贄」として狙っていた「あらゆる責任を言い訳に置き換えた」自己中野郎・阿天坊 直己(あてんぼう なおき)。

シズカの貞操の危機を救ったのは火の見やぐらから狙いすましたヒコじいの一撃。村一番と謳われた猟師の腕はホンモノでした。


電流柵に電力を供給している水車を止めに走ったベアトリクス。その前に立ちふさがったのは「自分の歪んだ正義を散水車のようにまき散らし、自分を否定する全てに殺意を向ける」寒林 陶子(かんばやし とうこ)。得物はチェンソー

ドイツの整形外科学者ベルナルト・ハイネによって発明された(と言われている)チェンソーを振り回す日本人と、日本刀を構えるドイツ人。

『私の国では、歩きタバコやポイ捨ては当たり前です。スーパーの店員はガムを噛みながら接客しますし、皆が静かに休みたい日曜日に掃除機をかけるのはマナー違反。誕生日は本人が主催してごちそうを振る舞います。どれもあなたにとっては非常識でしょうか? けれど、私にとってはそれが当然の暮らしでした』

自ら水車に飛び乗り、ゾンビを誘い込んで水車を破壊するベアトリクス


『もとより完全な正しさなど、どこにもありません。この十人十色の世界は、本来とても色鮮やかなもの。自分の正義を押し通したくなった時こそ、それが間違っているかもと立ち止まってみるゆとりがあなたには必要だったのかもしれませんね

静かなるそげぶ。水車から降りられなくなったベアトリクスはそのままゾンビを轢き潰しながら移動。

どこへ行くベアトリクス!?


リーダー日暮は、アキラの父親を人質に「親父を助けたかったらお前がゾンビになれ」と命と交換の親孝行を強要。

相変わらず日暮はショベルカーのバケットに乗っているのですが、運転手不在(阿天坊が動かしていたはず)のショベルカーでどう移動して来たのか、は聞かない事にします。

咄嗟の機転で日暮に近づき、バケットから引きずり下ろしたアキラ。

『日暮…結局、何がしたかったんだよ?』

『お前と同じだろ!? やりたい事して、好きな事して、俺だって楽しんで何が悪いんだよ!』

『これが本当にお前のやりたい事だったのか? 何でそんなに楽しそうじゃないんだ?

『楽しいに決まってんだろ! だってこれが俺の…(やりたい事?)

『本当のリストは…日暮が本当にやりたいことリストに書きたかった事は…何だったんだ?』

『…友達と市民プールで遊びたかった…』

ゾンビに噛まれて人間を失いつつある日暮を抱きしめてやるアキラ。


『もし、俺もいつか本当にゾンビになっちまったら…そん時は…一緒にプール行こうぜ』

日暮の中の人がアクセラレータなので、そげぶ感5割増し。

日暮号泣。山間の寒村でパンデミック。正に日暮の泣く頃に。

アキラを振りほどいてゾンビを引きつける日暮。眼前に川。そこに市民プールを幻視して…。

生存者合流。ベアトリクスが停まれなくなった水車で柵を破壊して脱出。

よく見ると右端に阿天坊がいます。死なんかったんかいワレ?


崩れた吊り橋の代替を作ってくれたのはツリー・ハウス・オブ・ザ・デッドの棟梁・熊野。

絨毯状に巻いた橋を対岸(すげー距離ある)に投げ入れる強肩は最早人類のものではありませんが、そこは見なかったことに。


村は復興に向けて動き出し、アキラらは「世界を救う(方法を見つける)」ために再び観光…じゃない探求の旅へ。

散々な放送スケジュールで割り喰いまくった1期でしたが、2期作れるようなら作ってください。

 

 

 

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