デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【いくらなんでも】佐々木とピーちゃん ♯1【端折り過ぎ飛ばし過ぎ】

『ピーちゃん…ここどこ?』

『我がこの姿に生まれ変わるまで住んでいた世界だ。ヘルツ王国の地方都市…名をエイトリアムと言う』

上下スウェット+裸足という異世界に行くには全裸の次に避けたい軽装でやって来た佐々木(1stネーム不詳)。

目指すは神戸和牛のシャトーブリアン

「佐々木とピーちゃん/第1話・現実と異世界(初回1時間スペシャル)」(2024年1月5日/湊未來その他3名計4人掛かり演出)

ほのぼのとしたタイトルですが、原作にはサブタイがついています。

異世界スローライフを楽しもうとしたら、現代で異能バトルに巻き込まれた件 〜魔法少女がアップを始めたようです〜」

ええ~(なんじゃそりゃそりゃ)。

四十路を目前に控えて心が寂しくなった弱小商社勤務の独身サラリーマン、佐々木38歳。

え、38歳? 老けてるなぁ。今日日の38歳はまだお子様だぞ(←実社会実感)。

どこかで見た事のある顔つきだなぁと思ったら「ヒューマンバグ大学」の佐竹博文だ(中の人まで一緒)。

特車二課・後藤隊長から連なる「目端は効くが苦労人」の系譜です。

左から佐々木、佐竹、後藤隊長


心の隙間を埋めるべくペットショップに来たものの、猫の敷居は高く、お犬様は更に高く。

低所得 心の隙間 埋めるすべなし

金さえあれば…。諦めかけた佐々木の耳に届いた天使の誘惑。

『えらんで…えらんで』

それは文鳥。なんだこの愛らしい生き物。お値段1羽3,000円。即決。


安アパートが癒しの空間に。まずは名前をつけないと、と思ったら文鳥まさかの自己紹介。

『我が名はピエルカルロ。異界の徒にして星の賢者』


『ピエルカルロ…じゃ、ピーちゃん』

ピエルカルロの中の人は「カルロ」ゼン原作「幼女戦記」のターニャ。完全におっさん声を想定していたのでイメージギャップの調整が大変でした。

まあ視点を変えれば花畑よしこ&阿久津明の「アホガール」コンビでもあるので時空を超えた再会を喜ぶといたしましょう。

『ピーちゃん、今日のご飯は何が食べたいかな?』

『神戸和牛のシャトーブリアンを所望する』

なんですとぉ!? 聞けばペットショップの山田が最高だと言っていたらしい。

しかし、神戸和牛は高価過ぎて手が出ない。

『金が無いのであれば稼げばいい』

ピーちゃんがこの世界で自由に生きるには協力者が必要。その申し出を受けた佐々木。

『ならば契約成立だ。貴様に私の力の一部をくれてやる』

要するに文鳥の体では魔法の行使に耐えられないので、人間の肉体を介して魔法を使うと。パソコンの容量が足りないので大容量の外付けHDDを取り付けたって感じでしょうか。

空き容量のできたピーちゃんは佐々木を連れて異世界(ピーちゃん的には元の世界)へ。


ピーちゃんのアイデア「双方の世界の特産品を並行輸入して売り捌けば、神戸牛など毎日食える」

しかし、異世界の特産品を円に換えるのは至難の業。

出所が異世界とは言えないし、値打ち品を繰り返し質屋に持ち込めば、間違いなく通報される。上手く換金できたとしても確定申告で確実にバレる。銀行口座を介さなくても税務署は金の流れを確認する術を知っている。

…という如何に日本が円の流通を厳格管理しているかの分かりやすい説明が原作にはあるのですが、アニメではここを丸々カット。

元々の目的は毎日神戸牛。そのための円荒稼ぎだったのに、説明なしで「異世界で豪遊」にシフトしてしまいました。違和感満開。

話の腰を折ると判断したのかもしれませんが、原作にない「後輩の独立話」なんか入れる余裕があるなら、ここいら辺ちゃんと解説して欲しかったです。

あと、こちらの世界と向こうの世界の「時差(こちらの1時間が向こうの世界の20時間前後)」という結構重要な設定もご都合主義的に軽~く流されてしまいました。

魔法の詠唱と修得もやたら駆け足。そのまま一気に現実バトル話に突入(落ち着かねー)。

仕事帰りに能力者(魔法とは異なる枠組みの力の持ち主。所謂超能力者)の通り魔に襲われていた女性を咄嗟の氷柱魔法で助けた佐々木。

彼女は内閣府超常現象対策局の局員、星崎さん。


その場で内閣府ヘッドハンティングされた佐々木は国家公務員として異能者バトルの最前線に。

通常の異世界もの、スローライフものとは一味違う変化を付けたかったんだとは思いますが、何も初回でここまで駆け抜けなくても。

異世界錬金術サイドが一気に霞んでしまいました。この軸足不鮮明な展開が吉と出るか凶と出るか(これから魔法少女も出てくるんだよなぁ)。

おまけ

佐々木の隣に住んでいる少女(中学生)は、幼少期から母親にネグレクトされ、佐々木がそれとなく与える食料で命を繋いできたため、佐々木に対して尋常ではない恋慕を募らせている「ヤンデレ」さんなのですが、星崎に向けた敵意(殺意?)の視線がカットされてしまったので、病み具合が伝わって来ません。色々残念な初回1時間スペシャルでした。



 

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★本日1月7日はサモ・ハン・キンポー(1952~)の誕生日(おめでとうございます!)

この3本立ては如何でしょう。