オリジナルと直球地続き、50年ぶりの後日談であると共に、ここから始まる新三部作の幕あけ…になるはずでしたが…。
「エクソシスト 信じる者」(2023年/デヴィッド・ゴードン・グリーン監督)
冒頭はハイチ共和国の首都ポルトープランス。
新婚旅行でこの地を訪れていた写真家のヴィクター(レスリー・オドム・Jr)と妊娠中の妻ソレーヌ(トレイシー・グレイヴス)はハイチ地震に遭遇。
倒壊したホテルの下敷きになったソレーヌは重傷。ヴィクターは現地の医者に選択を迫られます。
『子供と母親、両方は救えない。どちらかを選べ』
オリジナルに目くばせした海辺のドックファイトやマグニチュード7.0(死者31万6千人)のハイチ地震の描写は(迫力は今ひとつでしたが)掴みとしては十分合格。
でも残念ながらそこまで。
時は流れて13年後。ヴィクターはひとり娘アンジェラと二人暮らし。
ある日、アンジェラが親友キャサリンと近くの森に入って行方不明。
保護されたのは3日後。しかし、その間の記憶はどちらにも無し。
どうやらアンジェラは母親を呼び出す降霊術を行おうとしていたようですが、それ以降、二人の体と言動に異変が…。
あとはまあいつもの奴です。
豪儀にも白人黒人ダブルで悪魔憑き(ポリコレなんですかねぇ…)。
何故二人かと言えば、悪魔が『どちらを助けたいか選べ』と囁くからなんですが、結果は「ダブルでうるさい(だけ)」。
クライマックスは勿論「悪魔祓い」なのですが、これが神父に牧師に元尼の看護師に土着信仰の呪術師が入り乱れる総力戦。
どれが有効でどれが無効なのか、さっぱり分からない宗教バトルロワイヤル。
ここにオリジンのレジェンド、クリス・マクニール(エレン・バースティン)が割り込み参戦。
かつて悪魔憑きの娘を救った経験者として…って嘘つけ。
救ったのはメリン神父とカラス神父だべ。立ち会う事も許されなかった(つまり悪魔祓いの現場を見ていない)上に聖職者でもない「娘の体験談本にして大儲けした婆さん」に何ができると(勿論、何もできないのですが)。
あの悪魔憑きメイクも見飽きたなぁ…。二人ともそもそもの造形が可愛くないから、ただ汚いだけだし。せめて悪魔の力を借りて景気のいい超常現象のひとつも起こしてくれれば。
ヘタレ神父の柔軟体操。
終わってみれば「怖くない」「可愛くない」「うるさい」「まとまりがない」「地味」(アレンジされた「チューブラー・ベルズ」が流れた時だけちょっとアガりましたが、結局、あのラストカットを撮りたかっただけなんじゃないかと)。
興行的にコケたわけではない(製作費3,000万ドル、世界収益1億3,590万ドル。但し、ユニバーサルは「エクソシスト」の権利を獲得するために4億ドルつぎ込んでいる)ものの、評価は散々。
グリーン監督が続編(3部作の2作目。「The Exorcist: Deceiver」というタイトルも決まっていた)から降りて、三部作製作延期。
その後、本作は「なかった」事になって、新たにマイク・フラナガン監督が脚本・監督を務める新作としてリブートされる事になりました。
要するに「あ、ごめん、今の無し」って奴です。
仕切り直し公開は2026年3月13日金曜日。
わーたのしみ。
★過去の選択を悔やむ人間に仕切り直しを囁く悪魔と言えば…。
★フラナガン監督と言えば…
☜ランキング投票です。フラナガン版仕切り直しが観たい方はワンポチを。
★本日6月27日は「演説の日」