ヘイリー(ハレエット・スレイター)ら大学の友人グループ7人が、メンバーの誕生祝いを兼ねて山間の貸別荘(結構なお屋敷)でウェイなパーティ。
持参したビールは飲みつくしちまった。買いに行くのは面倒だ。
これだけのお屋敷なんだからどこかに酒があるんじゃないか。キッチンには…ないな。地下はどうだ。酒と言えば地下だろう。南京錠が掛かっているけど、こんなもの(フン!)。
地下室に並んでいたのは酒ではなく、占星術に関するアンティークな道具類。
棚にあった十二宮図が描かれた木の箱。開けると古い手書きのタロットカード。
折角だから占ってよ。独学だけど心得はある…あるけど…他人のカードは使わない方が…。
いいじゃん、ね。押し切られる形でヘイリーが星座とタロットによる占いをひとりひとりに。
最後に自分も占ってイベント終了。ここでようやくメインタイトル。何と開始から17分後。長いなぁアバン。
「タロット 死を告げるカード」(2024年/スペンサー・コーエン、アナ・ハルバーグ監督)
占いの内容は、各々の性格と吉兆・凶兆、行動に関する一種の予言と警告。
あとはまぁ、占いに出た通りの事が起こり、順番に死んで行く、という捻りの無い「ファイナル・デスティネーション」シリーズの劣化コピーです。
独学で齧っているとは言え、素人の主人公にあそこまで正確な占いができるのか、とか、カードに呪いをかけた元の持ち主を占えば「真言呪い返し」的回避が出来るのか、など展開のあちこちに「?」が躍るのですが、一番の不満は題材が「理不尽な死の運命」なのにゴア度がゼロだという事。
全ての惨事が「死の記号」。前後の絵面から死んだって分かるよな、じゃ次行ってみようって感じ。
一人目の犠牲者は「梯子で餅つき」👇
これは「デッドコースター」でも見せ場の一つでしたが、あちらはまず避難梯子が滑り落ちてきて眼前で一旦停止、一瞬の溜めを作って眼窩貫通という二段構え且つ直接描写のあるゴアシーンでした。
二人目が通過列車の前に転がり出て轢殺👇
これも絵面は寸止め(血飛沫が飛んだんだから死んだって分かるよな)。
轢殺シーンはホラーの定番ですが、それだけに淡泊な描写には「喰い足りなさ」が募ります。
こちら👇は「スパイラル:ソウ オールリセット」の轢殺(直前)シーン。
橋の上の首吊りシーンも「高さ」という要素が加わってダイナミックなカメラワークを魅せることができるのに工夫がなさすぎ。
吊り(首吊りに限らないhanging全般)のお手本に関してはこちらのサイトをご参照ください。
感心半分呆れ半分だったのが、インターネットの底力。
この手の話には必ず出てくる過去の呪いの生還者がネット検索一発ビンゴ、更にこの婆さん、人里離れた所で隠遁暮らししているくせに所番地をネットに晒しています。
呪いのカードの廃棄方法とかもネットが教えてくれました。多分、宗教別悪魔祓いの手順とか、臓器売買の方法とか、異世界の行き方とか全部ネットを見れば分かるようになっているのでしょう。
勿論、良い所もありました。照明とアングルに雰囲気のあるカットがいくつか。
自分以外無人のはずの寮で勝手に降りてきた屋根裏部屋の梯子。そこに近づいて行く寮生。
この「不審なものに近づいて行く」過程はそれ自体が既にホラー
もうひとつ。地下鉄駅内で「何か」に追われて非常ドアに飛び込んだら、操車場だった、というシーン。
唐突に視界が開けるのもホラーならではの意外性です。
純粋にホラーを楽しむには喰い応えが無さすぎますが、「ホラーは駄目、特にゴアシーンが駄目」という人たちで集まってワイワイ観る「パーティホラー」としてなら十分楽しめると思います。
★ご参考
★いたずら心や好奇心(もしくは単なる偶然)で若者グループがエライ目に遭うホラーをいくつか。
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