デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【その結末は】殺しが静かにやって来る【想定外】

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異色作、という言葉がこれほどしっくりくる映画もそうありません。

「殺しが静かにやって来る」
(1968年/セルジオ・コルブッチ監督)


マカロニ、というだけで十分異色なのですが、この作品異色づくめ。

まず主役のサイレンス(ジャン=ルイ・トランティニャン)が喋れない(当然、台詞もない)。

サイレンスの武器がモーゼルC96(西部劇では滅多に見ない自動拳銃)。

サイレンスの職業が賞金稼ぎ専門の殺し屋(賞金稼ぎに殺された悪党の身内が依頼人)。

舞台が一面雪に覆われた街スノー・ヒルユタ州という設定)。加えてヒロインが黒人。

そして観た後しばらくはサイレンス同様口がきけなくなる衝撃のラスト。

あり得ない設定、あり得ない展開、あり得ない結末です。

やはり、セルジオと言えばレオーネではなくコルブッチです。

レオーネが黒澤明なら、コルブッチは岡本喜八、いや工藤栄一といった所でしょうか。

DVDにはとってつけたような「お気楽別エンディング」が映像特典として収録されておりますが、こんなもの撮る必要はありません。このラストで正解です。

若きクラウス・キンスキーのかっちょ良さに痺れましょう。

※しかし、この邦題つけた人天才だな。素晴らしいにも程がある。

余談ですが、五社英雄原作、若山富三郎主演のテレビドラマ「啞侍鬼一法眼」(第1話の監督は勝新太郎!)って絶対本作にインスパイアされていると思います。