デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

クレヨンしんちゃん/オトナ帝国の逆襲 V.S. 千と千尋の神隠し

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『本気で21世紀を生きたいなら行動しろ! 未来を手に入れて見せろ!』

しんちゃんが走る。ひたすらに走る。ただそれだけのシーンなのに何故私はさめざめと泣いているのでしょう。

クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」(2001年/原恵一監督)

秘密結社イエスタディ・ワンスモアの放つ“懐かしい匂い”に囚われてしまった大人たち。

『21世紀にあるのは汚い金と燃えないゴミだけだ』

全編名シーン名台詞の嵐ですが、中でも父ヒロシが自分の靴の匂いで正気を取り戻し、青年期~上京~就職~結婚~出産の記憶が駆け抜けるところ(「父ちゃん、オラが分かるか?」「うん・・うん」)は屈指の号泣ポイントです。

さて、魔界に囚われた両親を取り戻すという“表層的共通点”を持つアニメがもう1本。

千と千尋の神隠し(2001年/宮崎駿監督)

監督自らがインタビューで明言している通り、この映画のテーマは風俗産業です。

もっとはっきり言えば「両親世代の飽食の代償として、ソープランドで躾られる幼女」の話です。

デザイン上は湯治場をモデルにしているようですが、回りを飲食店が囲んでいる構造は正に吉原(「吉原炎上」とか見るとその共通点の多さに驚きます)。

客はまず腹ごしらえをしてから、一発キメに行っていた訳ですね。

千尋が本名を取られて「千」になるのは源氏名。湯婆婆の部屋の襖にはでっかく「回春」(←お子さんのいる方は意味を聞かれたら誤魔化さずに答えるように)。

宮崎監督曰く、風俗産業=悪という決め付けは「キリスト教的倫理の押し付け」なんだそうで。斜に構えた訳じゃなく、真面目に現代日本を描くモチーフとして風俗産業が相応しい、と思っているようです。

共に2001年の公開ですが、「千と~」が(監督の思惑を完全スルーして)国民的大ヒットってのがどうしても解せません。