お前はDVDを買ってまで、こんな人でなしホラーを観たいのか?と言われそうですが、初見時は“ブロガー試写会”なる催しのプロジェクター上映で発色が今ひとつだったのよ(←全然言い訳になってない)。
まあ、それはそれでヤバイ感アゲアゲで、その日は寝室の電気をつけたまま寝るという少女のような真似をしてしまった訳ですが・・。
生真面目なフランス人がエンタメ感覚とっぱらった(そのくせ構図や編集は計算され尽している)映画撮るとここまで人の道を外れてしまうという嫌な見本。
それらしい動機と意味づけによって、あらゆる描写を正当化するという神をも恐れぬ(アメリカでは絶対撮れない)フレンチ・スプラッターです。
この「それらしい動機と意味づけ」にジョルジュ・バタイユの影響があるようなので、“翻訳本は(日本語じゃないから)読まない”という信念をぐっと曲げて文庫を購入。
(オーシュ卿=ジョルジュ・バタイユ著/生田耕作・訳)
本来なら、劇中引用された「凌遅刑」の写真が使われている「エロスの涙」を買うべきなのですが、つい「がんきゅうたん」という音に惹かれてしまいました。
内容はと言うと、どう読んでも単なる「エロ・グロ・スカトロ小説」(え?)・・。
抉られた眼球、卵、睾丸、放尿、脱糞、発狂、自殺、殺人・・僅か150ページの中に罰当たり描写がてんこ盛り(因みに初稿は地下出版。1928年)。
(結論:失敗)
「マーターズ」のDVDには、山口雄大&井口昇+清水崇という日本を代表するホラー監督によるオーディオ・コメンタリーが入っておりますが、これがグダグダで最高。
あまりの描写に井口監督はオネエ言葉(「いやぁ!」「だめぇ!」)となり、まるで本編から顔を背けるように「うんこ」の話で盛り上がり、山口監督に至っては、完全に逆ギレして「あーもうこいつら皆死ねばいい」とか「ここまで観ておいて何ですけど絶対人に薦められないですよ、こんな映画」とのたまう始末。
いやあ、是非、ご家族団欒のひと時に一家揃ってご覧頂きたいものです。
★大丈夫だよ~怖くないよ~