『何事だ、このキチガイ騒ぎは?!』
『どうせ、キチガイじゃ!』
返り血で真っ赤に染まった海女装束。銛を片手に仁王立つ地獄の水先案内人。彼女の名前は白都真理。
「人魚伝説」(1984年/池田敏春監督)
原発誘致に揺れる漁村(ロケ地は志摩)。誘致に反対する亭主を何者かに殺され、自らも命を狙われた海女のみぎわ(白都真理)は、ひとり復讐の鬼と化す。
相手は地場の土建屋、政治家、利権に群がる実業家、そしてヤクザ。
武器は銛ただ1本(潔いにも程がある)!
三叉の先端を1本にして貫通能力を高め、白い海女装束に身を包み、疾風の如く走る彼女は最早無敵。
目指すは原発開発祝賀パーティ会場。その殺しっぷりたるや容赦無し呵責無し手加減無し躊躇無し。
例え政治的陰謀に関係ない(偶然パーティに来ていただけの)娘であろうが問答無用。
立ち塞がる者は突き殺し、逃げる者も突き殺し、立ちすくむ者も突き殺す!
彼女に比べたら、黄色いトラックスーツ着て日本刀振り回す金髪女なんかただの漫画です。
対抗できるのは津山三十人殺しの都井睦夫くらいでしょう。
『今夜、嵐にして。何もかも吹き飛ばす嵐にして』
地蔵に願った通りの大暴風雨が、駆けつけた警官隊をジュラルミンの盾もろとも吹き飛ばす。薙ぎ倒す。
復讐の女神、殺戮の天使。「天使のはらわた/赤い陰画」と並ぶ池田監督の大傑作です。
※参考:「にっかつロマンポルノ復活・・は喜ばしい・・のだろうか?」
→2010年1月15日