デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

もうひとつの“戦後”ドキュメント。 WORLD WAR Z

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「戦後」の「戦」がどの戦争を指すのか、は世代によって判断が異なるでしょう。

「1年戦争」だとする人もいれば、アストラギウス銀河を真っ二つに分けた「100年戦争」だとする人もいるでしょう(いるよな?)。

本日は新しい「戦後」のドキュメントを御紹介。

「WORD WAR Z」(2010年国内初版/マックス・ブルックス著)

ZはZombieのZ。世界ゾンビ大戦です。

死者が甦り生者を喰らい、世界人口が激減したゾンビ戦争が一応の収束を見てから10年。

発祥国は? アウトブレイクの時期は? 地球規模のパニックに人類はどう立ち向かったのか。政治家、軍人から実業家、主婦、オタクに至るまで、生き残った人々の証言から当時の実態を浮き彫りにする戦後始末記。

という設定のフェイク・ドキュメントなのですが、やたら芸が細かく、本当に10年前にゾンビ戦争があったのではないかと錯覚(・・すみません、言い過ぎました)。

全世界に聞き取り調査を敢行しているので、当然、日本人にもインタビューしているのですが、これが実に「よく勉強したねえ」と感心ときりの出来栄え。

武士道オタクの実態など、ちぃとこそばゆいけどよく調べています。

日本だけ見てもこの調子って事は、登場するその他各国についても相当リサーチしているのでしょう。

著者のマックス・ブルックスメル・ブルックスのご子息(なんとなくビックリ)。

証言同士に大きな結節点のないスタンド・アローンなインタビューのみ(つまりストーリーとしての起伏は無い)で500ページ超えはちとキツイですが、ゾンビ愛溢るる実験作ではあります。

ブラッド・ピットが映画化権を買ったそうですが、映像化には相当な智慧が必要だぞ。

※参考:「皆ゾンビが大好き。ゾンビマニア(とゾンビ映画ベストテン)」
     →2010年4月30日