デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

皆鬼籍に・・。 必殺仕掛人/梅安蟻地獄

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晴らせぬ恨みを晴らし、許せぬ人でなしを消す。
いずれも人知れず、仕掛けて仕損じ無し。
但しこの稼業、江戸職業づくしには載っていない。

思えばTV版のこの口上(作:早坂暁、語り:睦五郎)から全てが始まったんですねえ。

必殺仕掛人/梅安蟻地獄」
(1973年/渡辺祐介監督)


緒形拳3周忌としてWOWOWで放送されたものを観たのですが、見渡せば元締の山村聡、悪役の佐藤慶小池朝雄、皆鬼籍入り。寂しい限りです。

本作は、TVシリーズ終了後の劇場版第2作(1作目の梅安は田宮二郎)にして緒形拳林与一の出会いを描く仕掛人エピソード1。

但し、林はTV版西村左内ではなく原作版小杉十五郎(西村左内は池波の短編「殺しの掟」のキャラクター)。

TVサイズとさほど変わらないスケールのお話ではありますが、佐藤慶小池朝雄という濃い~キャラを悪役に立てた(しかも兄弟!)事で、緊張感のある画作りになっています。

音楽は鏑木創(かぶらぎはじめ)氏ですが、ここぞという所では平尾昌晃の“あの”テーマが鳴り響き、ペット爆吹、ギター乱奏のマカロニ時代劇に早代わり。

ただ、オープニング・ナレーションが、上手いんだか下手なんだか分からない毛筆文を山村聡が淡々と読み上げる(しかも、“人知れず”の部分削ってる)だけという呆気ないものだったのが残念無念。

ことオープニングに関しては、ギターとペット、大江戸グランギニョールとも言うべき残酷絵画、そして睦五郎氏のナレーションに勝るものはありません。